研究概要 |
細胞内Ca^<2+>ストアは筋収縮や神経伝達,脳の高次機能といった様々な細胞機能に重要な役割を果たしていることが明らかになっている.本研究では細胞内Ca^<2+>ストアに存在するCa^<2+>放出チャネルであるイノシトール3リン酸受容体(IP3R)およびリアノジン受容体(RyR)を生きた細胞内で可視化しその細胞内局在を調べ,細胞内Ca^<2+>濃度変化との同時測定によりこれらのCa^<2+>放出チャネルの役割を明らかにすることを試みた. 可視化の方法としてはそれぞれのタンパク質に対する特異的な抗体を作製し,これに蛍光プローブをつけて細胞内に導入することとした.本年度はこの実験の最初の段階である特異的な抗体の作製と蛍光プローブ標識を行った.抗体はIP3RおよびRyRの一次構造の比較から特異的な部位を選んでその部分配列をペプチド合成し,これをウサギに免疫してポリクローナル抗体として得た.現在までにRyRに対しては全てのサブタイプを認識するものおよび各サブタイプ(RyR1-3)特異的な抗体がそれぞれ得られている.これらの抗体は精製後,励起波長の異なる蛍光色素(Cy2,Cy3,Cy5)でそれぞれ標識した。ウエスタンブロットおよび蛍光抗体法により蛍光標識が良好に導入されたことが確認された. 同時に,抗体遺伝子をSigle chain Fv fragmentとして細胞内に発現させることも試みた.可視化の方法としてはクラゲの蛍光タンパク質であるgreen fluorescent protein(GFP)との融合タンパク質として発現させる方法を用いた.RyRに対するポリクローナル抗体が作製されたアミノ酸配列をマウスに免疫し,これらマウスのB細胞のcDNAライブラリよりスクリーニングを行った.現在までに一次スクリーニングでそれぞれ数個のポジティブなクローンが得られておりさらにクローニングを進めている段階である.
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