研究課題/領域番号 |
10169260
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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研究分担者 |
芦高 恵美子 関西医科大学, 医学部, 講師 (50291802)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | ノシセプチン / オーファニンFQ / オピオイド受容体 / ノシスタチン / プロスタグランジン(PG) / 痛覚過敏反応 / アロディニア / グルタミン酸 / 鎮痛薬 |
研究概要 |
ノシセプチン/オーファニンFQ(Noc/OFQ)は17個のアミノ酸からなるペプチドで、オピオイド受容体μ、κ、δの類縁体であるORL1あるいはROR-C受容体の内因性リガンドとして単離された。髄腔内投与したNoc/OFQは、鎮痛作用のあるオピオイドペプチドとは対照的に、触覚刺激など非侵害性刺激による痛覚反応であるアロディニアや熱刺激による痛覚過敏反応を誘発する。Noc/OFQ前駆体蛋白上にPGE_2やNoc/OFの痛覚反応を抑制するペプチドを見いだし、ノシスタチンと名づけた。今回、ノシスタチンの痛覚反応を検討した。 1) ノシスタチンは、ヒト、ラット、ウシ、マウスでアミノ酸配列が異なるが、どの動物種のノシスタチンも極めて低い濃度で、Noc/OFQのアロディニアを抑制することから、C末端のEQKQLQの共通配列に鎮痛活性を有することが判明した。 2) ノシスタチンはヒト、ラット、マウス、ウシの脳、ヒトの脳脊髄液に存在する。 3) ノシスタチンはNoc/OFQ、PGE_2、PGF_2αによるアロディニアいずれも抑制するだけでなくホルマリンや熱刺激による痛覚過敏反応も抑制するが、古典的オピオイド受容体拮抗薬ナロキソンによっては影響されない。 4) ノシスタチンは大脳皮質のスライスでNoc/OFQによるグルタミン酸遊離の抑制効果を解除する。これまでPGは末梢組織、オピオイド系は中枢神経系で痛覚反応に関与すると考えられてきたが、申請者らはノシスタチンだけでなくPGD_2もノシセプチンとPGE_2のアロディニアの誘発を抑制することから、PGとオピオイド系がいずれも脊髄レベルにおいて痛覚の伝達と抑制の双方に相互に密接に関与していること、さらに興奮性伝達の活性化と抑制性伝達の脱抑制がアロディニアの誘発に関与することを示した。以上の結果、ノシスタチンは様々な痛覚反応に対し強い鎮痛活性を有することが判明し、本研究は新しい非ペプチド性鎮痛薬の創薬につながることが期待される。
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