研究概要 |
1.ホスファターゼの解析:ヒト細胞由来のデュアルスペシフイシティーホスファターゼVHRの構造生物学的解析を目的として,VHR蛋白質を調製した。VHR遺伝子を組み込んだ大腸菌BL21から,VHR蛋白質を約20mg調製した。VHR単独での結晶化は成功し,現在はVHRと阻害剤RK-682との共結晶を作成中である。2:新しいホスファターゼ阻害剤の開発: 2-1.放線菌由来のホスラクトマイシン類が,セリンスレオニンホスファターゼ(PP2A)の強力かつ選択的な阻害剤であることを明らかにした。 2-2.放線菌培養液から,新しいホスファターゼ阻害剤RK-1009(factumycin関連化合物)を単離した。これまで,原核生物ではスレオニン残基のリン酸化酵素・脱リン酸化酵素に関する報告はほとんどなかったが,今回,.RK.1009で処理した放線菌において著しいリン酸化スレオニンの蓄積が認められた。 2-3.放線菌培養液からチロシンホスファターゼ阻害剤ホスファトキノンAとBを見出した。ホスファトキノンAとBはチロシンホスファターゼCD45を特異的に阻害し、その50%阻害濃度はそれぞれ約10,μg/mlであった。また、その阻害様式は基質に対して拮抗型であった。VHR,PTPs2,PPl,PP2A,cdc25a,cdc25bに対してホスファトキノンは,50μg/mlでも阻害活性は示さないことから,CD45に対して高い特異性を示す阻害であることが示された。,
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