研究課題/領域番号 |
10170205
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 陽介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90183855)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1998年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | bZIP型転写制御因子 / 形態形成 / 形質転換植物 / 細胞伸長 / 表層微小管 |
研究概要 |
RSGは塩基性領域ロイシンジッパー(bZIP)構造を持つ新しい転写因子で、高等植物の光合成の場を形成するシュートの成長を制御する。植物体における転写因子RSGの機能を探るため野生型RSGの機能を阻害するドミナントネガティブ型RSGをタバコ個体で発現させた。この形質転換タバコは茎の節間成長が著しく阻害され、対照植物に比べて背丈が1/7程度となった。この形質転換体から誘導したカルスと根の成長はコントロールと比べて顕著な差は認められないが、シュートの成長は著しく抑制されていた。本研究ではbZIP型転写因子RSGを中心とした転写制御系がどのようにして、光合成の場を形成するシュートの成長を制御するのかを明らかにすることを目的とした。 ドミナントネガティブ型RSGによる茎葉、殊に茎の節間成長の阻害が細胞分裂の抑制によるのか細胞伸長の抑制によるのかを調べるために茎の細胞の形態を解析した。その結果、RSGの機能を阻害した形質転換タバコでは茎の細胞の伸長が著しく抑制されている事が明らかになった。細胞伸長の方向は細胞膜直下に存在する植物固有の構造である表層微小管によって制御されると考えられている。そこでドミナントネガティブ型RSGを発現させた形質転換植物の茎の表層微小管の構造を解析した。対照植物の表層微小管は細胞の伸長方向に垂直に整然と配向しているのに対し、形質転換植物では表層微小管の構造が完全に破壊されランダムに分布し、一部の細胞では表層微小管の断片化並びに密度の減少も観察された。正の転写因子RSGの機能を阻害すると、表層微小管の構造を制御している未知の因子の発現量が低下し表層微小管が秩序を失った結果、細胞伸長ひいては茎の伸長が阻害されたと考えられる。材料供給において有利なこの形質転換タバコは、表層微小管の構造を制御する微小管付随タンパク質(MAPs)の解析の良い実験系になると考えられる。
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