1. シロイヌナズナGT-1の組換えタンパク質を用いて、GT-1のリン酸化について検討した。その結果、GT-1はCalcium/calmodulin kinase II(CaMKII)とCasein kinase II(CKII)によってリン酸化されることが明らかとなった。CaMK IIによるリン酸化ではDNA結合活性の上昇が観察され、そのリン酸化部位はT133であった。さらに、予想されるGT-1のリン酸化部位は6カ所であるが、それらのセリンあるいはスレオニン残基をアスパラギン酸に置換させる点変異を導入した場合、T133Dの変異導入に於いてのみ、明瞭なDNA結合活性上昇が認められた。これまでに、in vitroでGT-lが結合するエンドウRBCS-3AプロモーターのBoxIIはCalcium/calmodulinを介した光情報伝達経路の末端であることを示す結果が得られているが、以上の結果はGT-1がin vivoでBOXIIに結合し、光情報伝達系の転写因子として働いている可能性を示唆している。 2. シロイヌナズナのデータベースから検索した2種類の塩基配列情報にもとづき、2種類のGT-1に類似するDNA結合ドメインを持つタンパク質をコードするcDNAをクローン化し、それぞれGTRl、GTR2と命名した。組織特異性をGT-1と比較するためにRT-PCR法を用いて調べたところ、GTRlとGTR2は調査した全ての組織から検出されたが、それぞれ花芽と花でmRNAの蓄積が多かった。これに対してGT-1は花器官でのmRNAの発現が低いことが明らかとなった。 3. GTR2については組換えタンパク質を用いてDNA結合活性について検討し、エンドウRBCS-3AプロモーターのBoxIIおよびBoxIII、タバコPRlaプロモーター等を用いたゲルシフトアッセイで、GT-1と異なる結合特異性を示すことを明らかにした。
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