研究課題/領域番号 |
10171204
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多羽田 哲也 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (10183865)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 形態形成 / モルフォゲン / dpp / dad / brinker |
研究概要 |
パターン形成においてシグナル分子が重要な役割を持つことは良く知られている。ショウジョウバエにおけるBMPのホモログであるDpp(Decapentaplegic)は様々な発生過程においてモルフォゲンとして機能し、形態形成における個々の細胞の位置価を設定する働きを持つと考えられている。このメカニズムを理解するためにDppにより発現が制御されるターゲットの探索を行ったところ相補的な発現パターンを示す2種の遺伝子、dad(daughters against dpp)とbrk(brinker)を得た。dadはSmadのC末側にあるMH2ドメインに相同性を持つ蛋白質をコードし、その発現はdppにより正に制御されている。一方、brkの発現はdppにより負に制御されている(dadとbrkは相補的な発現パターンを示す)。機能喪失および機能獲得変異の解析から、両者はDppのターゲット遺伝子の発現を負に制御していることが明らかとなった。DadはTGF-βファミリーの信号伝達を負に制御するSmad6,7と同様に、リセプターによるMadのりん酸化を阻害することによって、Dppシグナルを制御していると考えられる。brkがコードする蛋白質は既知のモチーフを持たないが、ショウジョウバエの転写因子Dsxに弱い相同性があることから転写因子として機能することが示唆される。DppはBrkの発現を抑えることによってターゲット遺伝子の発現を制御していると思われる。Brkが脊椎動物においても機能している可能性を調べるために、Xenopus初期胚における作用を検討した。Brk mRNAの注入によって胚の背側化が観察され、BrkとBMP-4 mRNAの共注入により両者の効果が相殺されたことから、BrkはBMP-4の作用を特異的に阻害することが示された。Brkの作用機構は進化的に保存されていることが示唆された。
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