研究課題/領域番号 |
10171211
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武田 洋幸 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80179647)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | ゼブラフィッシュ / 神経誘導 / 前後軸 / FGF / BMP / Wnt |
研究概要 |
神経組織の前後軸形成に関与すると思われる外胚葉の反応能の差(differential competence)は、腹側も含めた胚盤周縁の中胚葉から分泌される後方化因子が関与している(Koshida et al.,1998)。今年度、我々は胚盤周縁部で胞胚期から発現するzebrafish wnt8に注目し、後方化因子として機能し得るかどうかを過剰発現等の手法で解析した。さらに、本年度の研究の過程で、後方神経領域でBMP signalとFGF signalとの拮抗していることが明らかになった。 (1) 神経組織の前後軸形成におけるWnt8の役割 我々が想定する後方化因子は、過剰発現した場合、前方神経マーカーの発現を抑制して後方神経マーカーの発現を誘導し、そのシグナル経路を阻害した場合は、過剰発現と逆の結果となることが必須の条件である。そこで、Wnt8のRNAの受精卵への顕微注入による過剰発現の神経前後軸への影響を調べた。その結果、過剰発現させると前方神経のマーカーであるotx2の発現の減少と後方神経マーカーであるhoxa-1の発現上昇を誘導することが判明した。しかし、Wnt8過剰発現胚でのhoxa-1の発現は、発現領域が拡大しているものの頭部まで及んでいなかった。また、Wnt8のdominant-negative formの過剰発現も頭部領域の明らかな拡大が見られなかった。以上の結果より、wntシグナルは神経組織の前後軸形成に関与しているものの、胚盤周縁部で発現するWnt8が濃度勾配を形成して前後軸形成に直接関与する可能性は低いと結論された。 (2) 後方神経領域におけるBMPとFGFの桔抗関係 最近我々は、constitutive active型BMP受容体の過剰発現した胚で、後方神経誘導が阻害されないこと、constitutive active型BMP受容体とdominant negative型FGF受容体を共発現させた場合にはじめて後方神経の発生が阻害されることを観察した。以上の結果はゼブラフィッシュ神経誘導(BMPシグナルの阻害)には2つの経路が存在することを示している。一つは、オーガナイザー因子で細胞外でBMPと結合する。もう一つは、後方神経誘導に関与する胚盤周縁からのFGFで、標的細胞内でBMPシグナルと拮抗する。
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