研究課題/領域番号 |
10171215
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永渕 昭良 京都大学, 医学研究科, 講師 (80218023)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 上皮 / 細胞接着 / αカテニン / カドヘリン / サイトケラチン18 / オクルディン / AFP / ターゲッティング |
研究概要 |
本研究では昨年度作成したαカテニン欠損F9細胞を用いてαカテニンが上皮分化、上皮の形態形成及び細胞増殖において果たす役割の解析を行った。昨年度αカテニシ欠損F9細胞は形態的には上皮組織を構築できないことを報告したが、本年度はまず分化マーカーを用いてαカテニン欠損F9細胞の上皮細胞への分化を検討した。αカテニン欠損細胞の細胞集塊においても分化誘導後数日で上皮細胞の分化マーカーであるサイトケラチン18やオクルディン、AFPなどの発現が観察された。結果としてαカテニン欠損細胞においても細胞は細胞集塊の最外層という特定の場所で、特定の時期に上皮細胞が分化すること、αカテニンは上皮細胞の分化ではなく形態形成において重要な役割を果たしていることが示された。一方、αカテニン欠損細胞の細胞集塊を上皮誘導条件下におくと多くの細胞が細胞集塊から離脱し、その内の一部の細胞が典型的な印鑑細胞の形態を示すことが観察された。これらの細胞は上皮分化マーカーを発現し、さらに生体内での印鑑細胞癌と同様PAS染色で陽性を示した。結果としてαカテニンの機能不全は癌細胞が分散型の形態を示す原因になるだけではなく、印鑑細胞癌の原因にもなっていることが強く示唆された。最後にαカテニン欠損F9細胞とそこにαカテニンを再発現させた細胞の増殖能について検討した。通常の単層培養条件下でこの2種類の細胞の増殖能に大きな差はみられなかったが、細胞集塊を上皮分化誘導条件下におくとαカテニンを発現している細胞の細胞集塊はαカテニシ欠損細胞の細胞集塊に比べて有為に成長が抑制されることが分かった。結果として上皮誘導条件下においてはαカテニンは顕著な増殖抑制活性を示すことが示唆された。
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