研究課題/領域番号 |
10171223
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岸田 昭世 広島大学, 医学部, 助手 (50274064)
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研究分担者 |
菊池 章 広島大学, 医学部, 教授 (10204827)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 体軸形成 / Axin / Axil / β-catenin / Wntシグナル伝達系 / GSK-3β / APC |
研究概要 |
細胞間分泌蛋白質Wntは、種を越えて生物の胎生期における体軸形成や細胞の分化に関わることが明らかになりつつある。Wntのシグナルは細胞膜上のFrizzledを介してDishevelled、リン酸化酵素GSK-3β(glycogen synthase kinase-3β)、β-catenin、転写因子TCFへと伝達される。Wntのシグナル伝達系はβ-cateninの分解を抑制し細胞質に蓄積させる作用があると考えられている。私共はGSK-3βと結合する二つの新規蛋白質を見出した。一つの蛋白質はWntシグナル伝達系を抑制的に制御してアフリカツメガエルの体軸形成を決定するAxinと同一で、他の一つはAxinのホモログであったことからAxil(Axin like)と命名した。これら2つの分子は、共にN末端側にregulators of Gprotein signaling(RGS)領域、C末端側にDshと類似した領域が認められた。東京大学浅島教授らとの共同研究でAxilをアフリカツメガエル初期胚に導入すると、AxilもAxin同様にWntシグナルを抑制的に制御した。AxinのRGS領域にAPCが、中央の隣接した異なる領域にGSK-3βとβ-cateninが結合しこの4者が複合体を形成した。AxinのGSK-3β結合領域の直前にはGSK-3βのリン酸化モチーフが認められ、この部分はGSK-3βによってリン酸化される、Axin存在下ではGSK-3βによるβ-cateninのリン酸化が著明に充進した。さらに、COS細胞やSW480細胞にAxinを発現させるとβ-cateninの分解が促進される。これらの結果から、AxinはGSK-3βによるβ-cateninのリン酸化を促進することによりβ-catenin分解を誘導し、その結果Wntシグナル伝達系を抑制することが明らかになった。
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