研究概要 |
成虫の翅の形態が異常になるciの機能獲得型変異(ci)Domin minant (ciD)を用い、この表現型を変化させる変異体を、我々が所有する約700のx染色体劣性致死突然変異体プールの中から検索した。その結果、ciDの表現型をcnhance一する3系統を得ることができた【E(ciD)l,2,3】。3系統のE(ciD)allelesのmappingを体細胞組み換えを用いて行った結果、いずれも13Fの領域に存在した。これらが、同じalleleの変異体であるか否かを調べるため、致死性相補実験を行ったところ、互いに致死性を相補した。このことは、3系統がいずれも異なるalleleの変異体であることを示唆している。さらに、13F領域に存在する既存の劣性致死突然変異体とE(ciD)変異体との致死性を調べた結果、E(ciD)lは、転写因子をコードするscalloped(sd)の変異体と致死性を相補しなかったことから、E(ciD)lはsd変異体であった。既存のsd変異体はE(ciD)と同様、ciD変異体の表現型をenhanceした。他の2つのalleleについては、既存の変異体とは一致しなかった。さらに、我々の行っt-screeningは本来Ci蛋白質が存在しない後部区画での表現型の変 化を見ているので、Ci蛋白質が正常に発現する翅前部区画におけるE(ciD)の機能を調べるため、Hhの前部区画での異所的発現により前部区画に異常を生じるMrt変異体との遺伝学的相互作用を調べた。その結果、E(ciD)2はMrt変異体の表現型を増強した。Hhの発現は、前部区画でerprsssor型Ci蛋白質により抑制されているので、Mrt表現型の増強は、Ciのrepressor機能がE(ciD)変異により減少したためであると考えられる。E(ciD)劣性致死変異体は、EMSで誘発して得られた点突然変真体であるため、遺伝子のクローニングを簡単に行うことは難しい。そこで、遺伝子クローニングの容易乞P element挿入変異体を、E(ciD)2、3変異体の致死性と相補しないで、且つ、CiD変異体の表現型を増強するスクリーニングより単離中である。
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