研究概要 |
まず我々はMesP1および、MesP2が機能的に同等であるかどうか調べるため、それぞれの遺伝子を入れ替えたマウスを作成した。その結果、それぞれの遺伝子の機能がもう一方の遺伝子によりレスキューできることが個体レベルで証明できた。したがって、これらの遺伝子両者を体節形成過程でノックアウトすることが解析を行う上に重要であることを再確認した。今年度はトランスジェニックシステムの立ち上げに時間を要し、エンハンサーの同定にまでは至っていない。しかし、少なくとも、MeSp1遺伝子の上流6kb以内には体節形成のエンハンサーは存在せず、Mesp2の上流1.6kb以内に体節における発現を制御するエンハンサーが存在していることが明らかになった。一方、cre-loxを用いたシステムに関しては、かなり進展があった。我々はMesp1,Mesp2をそれぞれ単独にノックアウトしたES細胞を、すでに有していたので、これらの細胞に第二の変異をpuromycinを選択マーカーとして利用し導入した。まず、Mesp2(+/-)細胞のMesp1 locusに2つのloxではさんだMesp1遺伝子を導入し、creが発現したときにMesp1遺伝子が失われるように構築した。また、Mesp1(+/-)細胞のMesp2 locusにはcre rccombinaseをノックインの形で導入した。なお、Mesp1,MeSp2遺伝子は同じ染色体にとなりあって存在しているため、2つの変異は同じ染色体におこっていることが必須である。これは、neo,puromycin2つのプローブを用いたFISH解析により確認した。これらの細胞から得られたマウスをかけあわせることにより、Mesp2遺伝子が発現する体節形成過程でのみ、cre recombinaseが発現し、同じ細胞で発現する、Mesp1遺伝子が失われる。すなわち体節形成過程でのみ、両方の遺伝子が欠損したマウスが得られる予定である。現在これらのES細胞由来のキメラマウスが多数得られており、germline transmissionも確認したところである。 6
|