研究課題/領域番号 |
10175207
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
稲葉 一男 東北大学, 理学部, 助教授 (80221779)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 精子 / 鞭毛 / ダイニン / プロテインキナーゼ / モータータンパク質 / プロテアソーム / タンパク質リン酸化 / 細胞内情報伝達 |
研究概要 |
ダイニンは巨大な微小管系のモータータンパク質である。ダイニンはATPを加水分解する際に大きな構造変化を起こすが、この変化はダイニンによる力発生に深く関与すると考えられる。これまでの研究により、ダイニン重鎖における構造変化部位周辺の一次構造を決定した。本年度はこの領域を特異的に認識する抗体を作製し、微小管滑り運動に伴うダイニンの動的構造変化を明らかにすることを目的として研究を進めた。まず、抗体の低分子化と遺伝子組み換えによるエピトープ改変が容易に行える組み換え抗体の作製を試みた。その結果、ダイニンを認識する抗血清およびScFvライブラリーまでは作製することができたが、ファージ粒子上に発現した分子とダイニンとの間の結合が強くなく、ダイニンの研究に有用な抗体は得られなかった。一方、構造変化部位を含む20アミノ酸からなる3種類のペプチドに対するウサギポリクローナル抗体を作製した結果、かなり高い力価の抗体を得ることができた。一つは主要なATP加水分解部位に比較的近いTAV1部位を認識する抗体、及びダイニン重鎖の中央部のTAV4部位に対する抗体、さらに加水分解部位から離れてC末端側に存在するT2部位に対する抗体である。すべての抗体がムラサキウニ精子の外腕ダイニンを特異的に認識し、内腕ダイニンに対する交叉は見られなかった。また、TAV1抗体、TAV4抗体についてはアミノ酸配列から予想されるように、サケやホヤ等、他の動物精子の外腕ダイニンとの交叉性が認められたのに対し、T2抗体はウニ精子ダイニンとのみ反応を示した。ただし、未変性状態のダイニンとはいずれも反応せず、ATPase活性も阻害しなかった。従って、今後はFabフラグメント等の低分子化を検討し、微小管滑り運動の阻害や、構造変化の状態に応じたダイニンのラベリングへの応用の可能性を調べる必要がある。
|