研究課題/領域番号 |
10176213
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江島 洋介 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (50127057)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 神経細胞死 / A-T / ATM遺伝子 / 放射線感受性 / ヒト腫瘍 / 突然変異 |
研究概要 |
ATM遺伝子はヒト劣性遺伝病A-T(アタキシア・テランジェクタシア)の原因遺伝子として11番染色体q22.3領域から単離された遺伝子である.ATM変異をホモにもつA-T患者は小脳性失調を特徴とし、その背後にある神経細胞死の機構は不明であるが、放射線などの細胞傷害性因子への高感受性が重要な要素と推測される.本研究はA-T患者や腫瘍細胞などにおけるATM遺伝子上の突然変異を解析して感受性形質との関連を調べるという方法で神経細胞死の機構を明らかにすることを目的とする.今年度は、A-T患者とヒト腫瘍細胞で見られるATM突然変異を解析しその特徴を明らかにすることに重点をおいた.解析対象にはA-T患者とヒトの固形腫瘍から樹立した細胞株を用い、突然変異の検出には制限酵素フィンガープリント(REF)法とPCR-SSCP法を用いた.8家系に属する10人の日本人A-T患者の全16アレルの突然変異が同定できた.12アレルの変異はREF法で、残り4アレルの変異はPCR-SSCP法で検出できた.エクソン欠失、微小欠失によるフレームシフト、並びにナンセンス型の塩基置換変異が大半を占め、A-Tの病因には機能喪失型の変異が優勢であることを示唆した.またエクソン33(4612del165)とエクソン55(7883del5)での突然変異は日本人患者の約半数を占める創始者効果突然変異(founder-effect mutation)であることが判った.大腸癌、網膜芽細胞腫などを含む25系のヒト腫瘍細胞株においてはA-T患者のような機能喪失型の変異は見られなかった.ミスマッチ修復欠損の大腸癌細胞株ではエクソン近傍の単一塩基リピートに欠失があり、エクソン12とエクソン22においてはこれに起因する異常mRNAの発現が見られ、現在この異常と感受性形質との関連を解析中である.
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