研究課題/領域番号 |
10176221
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畠中 寛 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (60208519)
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研究分担者 |
池内 俊彦 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (20093362)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | アポトーシス / PI3キナーゼ / BDNF / Aktキナーゼ / JNKキナーゼ / ナロシンリン酸化 / 高カリウム培地 / ニューロトロフィン |
研究概要 |
我々は従来から、ニューロトロフィンによって引き起こされる細胞内シグナル伝達機構に注目し、初代培養小脳顆粒細胞における低カリウム培地によるアポトーシス(プログラム細胞死)をBDNFおよび高カリウム培地が抑制することを見いだしてきた。今年度は、この培養小脳顆粒細胞における低カリウム培地によるアポトーシスに対するBDNFや高カリウム培地による生存維持(細胞死抑制)作用にはphosphatidylinosito13-kinase(PI3-キナーゼ、PI3-K)が関与していること、さらにそのPI3-Kの下流のシグナル伝達経路を解析した。PI3-Kの下流においては、p70^<S6K>は生存維持作用には関与しておらず、恐らくAktキナーゼ及びそこから起因する経路が生存維持作用をもたらしているであろうことを示唆した。最近、Aktの下流で、ミトコンドリアに存在するBcl-2ファミリー蛋白質の一つであるBADがリン酸化され、細胞質中に遊離されることが報告された。細胞死誘導蛋白質であるBADが細胞質に放出された結果、ミトコンドリア膜上での細胞死誘導シグナルが阻害され、細胞死の抑制がおこるという仮説が提唱されている。一方、我々はPI3キナーゼ-Akt経路が、種々の細胞死誘導過程で活性化されるMAPキナーゼスーパーファミリーに属するJNK(c-JunN末端キナーゼ)の活性化を抑制することにより細胞死抑制効果を発揮していることを見い出した。これまで細胞死誘導過程と細胞死抑制作用のシグナル伝達機構の解析は独立して平行に進んできた。しかしながら細胞死抑制作用のシグナル伝達経路は、特定の箇所において、細胞死誘導過程を遮断していることが予想され、我々はその一部を証明したことになる。今後の詳細な解析により、神経細胞死およびその抑制作用のシグナル伝達機構に関する研究がさらに深まることが期待される。
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