研究課題/領域番号 |
10176236
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
池中 一裕 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00144527)
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研究分担者 |
馬場 広子 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (40271499)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ミエリン / 電位依存性カリウムチャネル / ランビエの紋輪 / 脱髄性疾患 / オリゴデンドロサイト / 神経伝導 |
研究概要 |
マウスの視神経では、網膜から出た直後の無髄の部分とそれより視交叉側の大部分を占める有髄部分とをミエリン特異的抗体による染色で明瞭に区別することができる。電位依存性K^+チャンネルの特徴的な局在とミエリン膜の関係を明かにする目的で、ICRマウス成体視神経をPLP抗体およびK^+チャンネル特異抗体で免疫染色を行った。結果、K^+チャンネルは、有髄の部分ではランヴィエ絞輪両側のjuxtaparanodeの部分にクラスターを形成しているのに対して、無髄部分では均一に存在し、一本の視神経軸索においてもミエリン膜の有無によって、明かにその局在の様式が異なることが明かになった。 上記から、K^+チャンネルの局在化に対してミエリン膜の存在が重要であることが推測されたが、それをさらに明かにするために、ミエリン形成不全マウスであるjimpy mouseの脊髄前索部分におけるチャネルの局在様式を調べた。その結果、軸索の大部分を占める無髄部分では、チャネルは均一に存在するが、ごく一部のミエリンが形成された部分のみで正常の場合と同様のクラスターが観察された。 次にPLP-Tg軸索におけるK^+チャンネルの局在を調べた。結果、PLP-Tgの脱髄した軸索部分においては、このような特徴的なクラスターは明らかに消失し、均一な染色像を呈していた。まだ脱髄を生じていない4.5ヶ月齢のPLP-Tgでは、正常と同様なクラスターを認めるため、このチャンネルの局在変化は脱髄によって生じたものであると考えられた。 本研究から、絞輪隣接部におけるK^+チャンネルの特徴的な局在の発生および維持に関しては、ミエリン膜が重要な役割を果たしていることが明かになった。今後は脱髄における軸索興奮伝導障害を改善および防止することを目的として、さらにチャンネルの局在化に関与する要因を明らかにしていく予定である。
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