研究分担者 |
原 一雄 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
山内 敏正 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
鏑木 康志 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
門脇 孝 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30185889)
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研究概要 |
インスリン抵抗性・高インスリン血症は、動脈硬化危険因子の一つである。細胞レベル及び個体レベルでその分子的機序を検討した。(1)血管平滑筋細胞などの動脈硬化巣を形成する細胞群の細胞接着や遊走能に対する影響を検討するため、インスリンの接着斑のチロシンリン酸化蛋白質(FAK,paxillin,cas)に対する影響を検討した。インスリンを投与したところFAK,paxillin,casの脱リン酸化が亢進した。また、この脱リン酸化作用はCsk依存性と考えられた。インスリンは、接着斑に存在するチロシンリン酸化蛋白質の脱リン酸化を亢進させ細胞外基質との接着能を調節し動脈硬化巣での平滑筋細胞などの接着や遊走などに関与している可能性がある。(Tobe,K.et al:.Mol.Cell.Biol.16:4765-4772,1996)(2)インスリン受容体基質1(IRS-1)欠損マウスは、骨格筋でのインスリン作用障害によっておこる高インスリン血症・インスリン抵抗性の非肥満マウスである(Tamemoto,H.et al:Nature 372:182-186,1994:Tobe,K.et al:: J.Biol.Chem.270:5698-5701,1995)。血圧、血中脂質濃度、血管内皮細胞機能について検討した。IRS-1欠損マウスは野生型に比べ血圧が有意に高く、アセチルコリンによる大動脈輪の弛緩は低下していた。また、IRS-1欠損マウスでは中性脂肪は有意に高値を示し、HDLは有意に低値であった。肥満を伴わず、耐糖能障害もともなわない高インスリン血症/骨格筋インスリン抵抗性マウスで高血圧、脂質代謝異常をきたすことが明らかになった。(Abe,H.et al:J.Clin.Invest.101:1784-88,1998)
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