研究概要 |
fringeはDrosophilaのwing形成過程で重要な役割を果たしている新しい分泌性シグナル分子として同定された。その後,アフリカツメガエル,ニワトリでもfringeが同定され様々な形態形成における重要なシグナル分子であることが期待されている。これまでの研究により,現在まで,3種のfringe,radical fringe,lunatic fringe,manic fringe,が同定され,その構造が明らかにされている。最近,Yuanらにより,fringeの構造が既知のgalactosyltransferaseの構造に類似しているとの指摘があり,それらの関係が注目されている。しかし,現在までのところ,fringeにglycosyltransferase活性があるとの報告はない。 申請者らは,rat lunatic fringe,radical fringe cDNAを単離し,その全構造を明らかにした。また,その発現を調べ,これらのfringeは胎児期のみならず,成体でも発現し,特に,radical fringeは脳,lunatic fringeは肺に高発現していることを明らかにした。さらに,fringeが高発現しているこれらの臓器については,in situ hybridizationにより,脳では神経細胞に,肺では肺胞上皮細胞に特異的に発現していることを明らかにした。これらの結果より,哺乳動物のfringeは形態形成因子としてのみならず一成体でもその役割を果たしていることを明らかにした。また,lunatic fringeをbaculovirus expressionvectorを用いて昆虫細胞で発現させ,生物活性や酵素活性等を検討するに必要なlunaticfringeを調製する系を確立した。
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