研究課題/領域番号 |
10178205
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡 昌吾 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (60233300)
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研究分担者 |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学研究科, 教授 (50025706)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | HNK-1糖鎖抗原 / グルクロン酸転移酵素 / 細胞接着分子 / C6グリオーマ細胞 |
研究概要 |
近年、細胞表面や細胞外マトリックスの糖タンパク質や糖脂質に含まれる糖鎖が、神経細胞の細胞間相互作用に重要な働きをすることが示されてきている。なかでも、単クローン抗体HNK-1により認識されるHNK-1糖鎖抗原は、昆虫から哺乳動物まで広く神経系組織に分布し、神経の初期発生段階、神経回路の形成段階および神経回路の維持など様々な過程において重要な働きを持つことが明らかにされてきており注目されている。我々は本抗原の機能を分子レベルで直接的に証明するすることを目的とし、現在までにその生合成調節酵素の中心的役割を担うグルクロン酸転移酵素(GlcAT-P)の単離、遺伝子のクローニングに成功している。今回、本遺伝子を用いて培養細胞にHNK-1糖鎖抗原を強制的に発現させることにより、以下に示す知見が得られた。 1) HNK-1糖鎖抗原の細胞間相互作用におよぼす影響 GlcAT-P遺伝子を一過性に導入することにより、COS細胞やC6グリオーマ細胞の細胞表面にHNK-1糖鎖抗原の発現を誘導することができることを既に見いだしている。そこで細胞間相互作用におけるHNK-1糖鎖抗原の役割を調べるため、GlcAT-PcDNAを安定形質導入したC6グリオーマ細胞を作成し、HNK-1糖鎖抗原発現によるこれら細胞間の接着性の変化を解析した。その結果、HNK-1糖鎖抗原を発現している細胞はもとの細胞に比べ細胞間の相互作用が著しく弱まることが明らかとなった。またHNK-1糖鎖抗原を発現するC6グリオーマ細胞を用いてHNK-1糖鎖抗原の発現している分子を解析した結果、NCAMやL1に発現していることが明らかとなった。 2) HNK-1糖鎖抗原の細胞形態変化に及ぼす影響 GlcAT-P遺伝子を一過性に導入することにより、COS細胞が著しい形態変化を起こすことを見いだしている。そこでGlcAT-P遺伝子の発現をデキサメタゾンにより誘導できる細胞株を樹立し、HNK-1糖鎖抗原の発現をコントロールできる系を確立した。その結果、デキサメタゾン処理により細胞表面にHNK-1糖鎖抗原の発現が誘導され、細胞の突起伸展が起こることが確認された。現在この系を用いてHNK-1糖鎖抗原発現による突起伸展の機構を解析している。
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