研究概要 |
O-GlcNAc糖鎖は、蛋白のセリンやスレオニンのアミノ酸残基(Ser/Thr)に結合する糖鎖であり、UDP-GlcNAc-β-N-acetylglucosaminyltransferase(O-GlcNAc transferase)によって糖付加が行われると考えられている。この糖鎖の付加は細胞内蛋白(核蛋白、細胞質存在蛋白)のみに認められ、生命現象に重要な役目を担っていることが推測される。我々は、コレクチンの糖結合活性が上記の糖鎖とオーバーラップすることから、コレクチンのモチーフを利用して新規コレクチンのクローニングを企画し、細胞内糖鎖の機能を探ろうと考えた。 1) 我々は、O-GlcNacの糖鎖に結合するものとして、細胞質存在タイプの新規コレクチンを想定し、その遺伝子クローニングを試み、本年度候補遺伝子の一つCL-L1遺伝子のクローニングに成功した。さらにCL-L1遺伝子を大腸菌で発現させ、抗体作成を行い、本レクチンが細胞質存在型のレクチンであることを証明した(J.Biol.Chem.ln press)。現在、このレクチンにって詳細な解析をおこなっている。 2) レクチン遺伝子の機能を探るには、真核細胞での発現系が必須であり、新しいベクターを作成して、その発現系を確立し、その生物学的活性を比較検討した(Eda,Biosci.Biotech.Bioch.,1988.,Ohtani,J.lmmunol.Methods,1999)。 さらに本リコンビナントレクチンを用いてウサギに免疫し、抗体作製を行い、それらを用いてコレクチンのアッセイシステム(ELISA法)を確立した(Ohtani,J.lmmunol.Methods,1999)。
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