研究概要 |
活性化された血小板や血管内皮細胞に発現されるセレクチンと白血球膜の糖鎖を介した接着がもたらす白血球活性化の特性とその機構を明らかにする目的で研究を行った。 1) 抗シアリルルイスX抗体の単球からのTNF産生誘導能:炎症性サイトカインの一つである腫瘍壊死因子(TNF)の産生誘導に対する抗シアリルルイスX抗体の効果を検討したところ,IgM型(KM-93,2H5およびSNH-3)では強い誘導能が認められたが,IgG型(SNH-4)の抗シアリルルイスX抗体では誘導能は弱かった。また,セレクチンに対する糖タンパク質リガンドと考えられているPSGL-1(P-selectin glycoprotein ligand-1)に対する抗体(138)で単球を前処理することによりTNF産生の阻害が観察された。 2) シアリルルイスX糖鎖の発現とセレクチン依存的細胞接着の相関性:白血球病細胞株HL-60,U937およびCMKにおけるシアリルルイスX糖鎖の発現量とセレクチン依存的な細胞接着反応の関係について検討したところ,HL-60>U937>CMKの順で接着率が高く,シアリルルイスX糖鎖の総発現量とは相関しなかったが,PSGL-1に結合しているシアリルルイスX量との間に相関が認められた。 以上より,P-セレクチン依存的な白血球の接着および白血球活性化には,特定の糖タンパク質リガンドに結合したシアリルルイスX糖鎖およびそれらの存在状態が重要であることが推測された。
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