研究課題/領域番号 |
10178218
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
池中 一裕 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00144527)
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研究分担者 |
長谷 純宏 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (80028232)
藤本 一朗 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (70264710)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | N-結合型糖鎖 / 糖鎖自動分析 / HPLC / 蛍光標識 / ヒドラジン分解 |
研究概要 |
糖蛋白質の糖鎖構造はある特定の糖鎖結合部位に付いているものでも不均一で多様であるため、糖蛋白質糖鎖は厳密な合成調節を受けているようには思われていない。しかし、ある細胞集団や組織の特定領域全体で糖鎖パターンを解析すると極めてよく一致していることがマウスの各組織の解析から明らかとなった。今回、マウスよりもっと遺伝学的に不均一なヒト脳内糖蛋白質糖鎖を解析したところ、ヒトにおいても糖鎖パターンは極めて良好な一致を示した。このことは、糖鎖生合成過程における各糖転移酵素の遺伝子発現が厳密に制御されていることを示している。 なぜこのように厳密な制御が必要なのか明らかにするために、われわれは脳特異的に発現している糖鎖「BA2」に着目して研究を行った。BA2はbiantenna骨格にbisectingGlcNAcとcore fucoseの結合した構造をしており、非還元末端はGlcNAcで終わり、Galは付加していない。脳より抽出したガラクトース転移酵素はこのBA2にガラクトース付加することができないが、牛ミルクガラクトース転移酵素(GalTase I)は付加することができる。そこで、われわれはBA2産生細胞であるCG4(オリゴデンドロサイト前駆細胞株)にヒトGalTase I cDNA(成松先生から供与していただいた)を強制発現させ、CG4におけるBA2発現量を減少させようとした。トランスフォーマントの内の1クローンは実際BA2の発現が認められなくなり、しかも増殖速度が極めて遅くなり形態異常も示した。このクローンの糖蛋白質糖鎖を解析したところ、BA2がガラクトシル化されたのではなく、もっと大きく糖鎖パターンが変動していた。このことは、生体にとって糖転移酵素活性を厳密に制御し、一定の糖蛋白質糖鎖パターンを保つことが極めて重要な意味を持つことを意味している。
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