研究課題/領域番号 |
10180212
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹安 邦夫 京都大学, 総合人間学部, 教授 (40135695)
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研究分担者 |
佐藤 雅彦 京都大学, 総合人間学部, 助手 (20283575)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | Nefタンパク質 / HIV-LTR / ヌクレオソーム / 核移行シグナル / 原子間力顕微鏡 |
研究概要 |
HIV-1アクセサリータンパク質の一つであるNefは、CD4のダウンレギュレーションや高ウイルス量の保持、感染性の上昇など正の調節因子としての可能性が報告されている。しかし、当初Negative FactorとしてウイルスDNAのLTRに作用し、ウイルスの複製を制御すると報告された「NefがLTRに結合する」という直接の証拠は未だ検証されていない。本研究では、解像力数Å-数nmの原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)と分子細胞生物学的手法を用いて以下の結果を得た。 1. 感染クローンであるpNL432にコードされるnef遺伝子をpGEXに組み込み大腸菌でGST-Nef融合タンパク質を発現させ、pNL432由来の5'LTRフラグメントとインキュベートすると、Nef(27kDaおよび25kDaの各イソ型)はLTRの負の調節領域と考えられる部位に結合した。 2. 27kDaおよび25kDaの各イソ型をコードするDNAを発現ベクター(pRC/CMV)に組み込み哺乳類培養細胞で発現させると、27kDaタンパク質は細胞質に留まるが25kDaタンパク質は核に移行出来る。 3. アミノ酸配列の比較から27kDaおよび25kDaタンパク質のアミノ末端には核移行シグナルが存在することが判った。27kDaタンパク質のアミノ末端にはミリストイル化部位が存在するため細胞内膜系および細胞膜に繋留されるが、25kDaタンパク質にはミリストイル化部位がないため核に輸送されると考えられる。 4. 25kDaタンパク質のアミノ末端には核移行シグナルを除去すると核への移行は見られなくなった。 5. LTR-DNAとコアヒストン(ヒストンH2A、H2B、H3およびH4各2)とからヌクレオソームを再構成すると、ヌクレオソームのポジショニングが見られ、Nefの結合部位はポジショニング部位の外側に位置した。 以上の結果は、「少なくとも25kDaNefは核移行後、LTRに結合することにより調節因子として働く」可能性を示唆している。
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