研究概要 |
ヒト末梢血単球より抽出したDNAを用い、LD78遺伝子(2264BP)をPCRにより増幅し、TAクローニングベクターを用いてサブクローニングしMsp1などの制限酵素で分類し、塩基配列を全て決定したところ、LD78遺伝子ファミリーの遺伝子は10個以上の遺伝子群でありLD78遺伝子と93%から98%の相同性を持つことが明かになった。93アミノ酸残基中21、22、25、62、70番目のアミノ酸残基が異なることが明らかになった。21番目と22番目のアミノ酸残基をもとにLD78-A群及びLD78-B群に分類した。21番目と22番目のアミノ酸残基をコードする部位にAvaII及びScrFIを制限酵素切断部位がLD78-Bでは存在するがLD78Aでは存在しないことを利用して、PCR-RFLPを用いて相対的量を算出した。進行者では、LD78-B群が優位であり、長期非進行者では、LD78-A群が優位であることが明らかになった。LD78-A群、LD78-B群の蛋白を酵母で発現させ機能を比較したところ、LD78-B群は、LD78-A群の蛋白より、抗ウイルス活性が強いことが明らかになった。また、CCR5をdown-regulationする作用も約20倍強いことが明らかになった。一方では、IL-1,TNF-aを誘導する作用があり、炎症誘導とHIV-1複製抑制という相反する性質をもつ、LD78-B群の増幅は、むしろ炎症誘導に伴う有害な影響が強く出ていると思われる。
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