研究概要 |
ジーントラップ法を応用し、造血現象に関わる新規遺伝子の同定、発現や機能の解析を試みた。まず、ジーントラップベクターを導入したマウス胚幹細胞(ES細胞)とOP9ストローマ細胞を用いた培養系で造血発生を再現し、造血関連遺伝子と融合したレポーター遺伝子を発現する4個のESクローンを得た。このうち2個のクローン(12G10,4H5)より作成したヘテロマウスでは胎児肝や骨髄などにレポーター遺伝子の発現を認め、OP9ストローマ細胞を用いたin vitro実験結果を支持した。またコロニー解析ではCFU-mixや巨核球などにレポーターの発現が確認された。これら2個の遺伝子の塩基配列を決定したところ、4H5はC2H2タイプのzinc fingerコンセンサスをコードし、12G10は全く未知の遺伝子であった。続いてこの2つの遺伝子の生理機能を知る目的でヘテロマウスの掛け合わせによってホモマウスを作成した。これらのマウスは正常に生まれ発育しwi1d typeと比べ血液学的にも表現型に顕著な違いはなかった。一方、ヒトの血液株細胞にはこれらマウスで得られたcDNAプローブで検出されるRNAが存在していた。たとえば、マウスの巨核球に強く発現する4H5は、ヒト巨核球系の株細胞にも強く発現しており、種を超えて機能していることを示唆していた。現在、4H5のヒトホモログをクローン化し、ゲノム上の位置を解析中である。
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