配分額 *注記 |
10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1998年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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研究概要 |
本研究では,近年,地理情報処理,移動体通信など様々な技術の進歩から,離散的な問題に対してその構造が時間とともに動的に変化する場合や,これから先に与えられるデータに関する情報がない状況で実時間的に問題を解かなければならない場合に,変化していく離散構造のうち幾何構造を抽出し,このような状況に現れる問題に対する解法を研究してきた.このような動的・実時間環境における問題の多くは,実際に解かなければならないけれども計算困難であるものが多いが,そのような問題に対する統一的な解法を探ることを目標としてきた. まず,最初に,幾何構造の基本的概念である三角形分割やVoronoi図に関する研究を行った.動的な対象物に対するVoronoi図を求めるアルゴリズムを開発し,それを幾何的当てはめ問題や多角形配置問題に応用した.三角形分割全体のなす離散構造に関する研究も行った. 地理情報処理は,動的・実時間的環境の問題を数多く含んでいる.特に,地図におけるラベル配置問題は,時間をかけて作る紙地図に対応するものや情報端末へデータベースからの検索の結果を表示するものなど様々な状況に対応する必要があるが,実用的な問題の多くはNP困難であることが知られている.そこで,本研究では数値地図からのデータをもとに,実際の地図において点と辺や細かい線分からなる折れ線にラベルを配置する多くの解法を提案し,計算機実験によってその有効性,実用性を評価し,人間にも文字が読みやすいような配置を実現する手法であることを確認した.また,これまでは配置できない対象物への配慮は考えられてこなかったが,本研究では引出し線を用いた解法も研究を行い,計算機実験を行った. 幾何構造の変化に伴って幾何構造の持つ位相も変化していくが,その際,位相不変量を計算することによって位相の変化を捉えることが出来るし,幾何データの整合性を確かめるためにも不変量の計算は重要である.本研究では,位相不変量のなかでも絡み目の識別能力が高いJones多項式に関する研究を行った.Jones多項式の計算は#P-hardであるが,提案したアルゴリズムによってある程度の大きさまで計算することが可能であることを実験によって示すことができた.
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