研究課題/領域番号 |
10208209
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笹井 宏明 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90205831)
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研究分担者 |
荒井 孝義 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (80272483)
藤岡 弘道 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (10173410)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
21,500千円 (直接経費: 21,500千円)
2000年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1999年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1998年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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キーワード | 絶対不斉合成 / 不斉触媒 / 酸化カップリング / ビナフトール / キラリティー制御 / 銅 / 磁場 / 遠隔位不斉制御 / 触媒 / 希土類 / ガドリニウム / ビフェノール |
研究概要 |
β-ナフトール類のラジカルカップリング反応を強磁場中で行い、生成するビナフトール誘導体の光学純度を測定した。ビナフトール誘導体が光学活性体として得られれば、自然界における不斉発現のメカニズムを検証する点からも興味深い。Β-ナフトールの3位にtert-ブトキシカルボニル基を導入した誘導体を基質として用いた場合、最も磁場強度の大きな磁場中心よりも、ある程度離れた位置の方で磁場の影響が強く現れた。生成物の光学純度については、光学異性体分離カラムを用いるHPLC分析と旋光度より決定した。HPLC分析での検出には、UV検出器やCD検出器、RI検出器などを併用している。なお、すべての反応は、微量の不純物や光による影響を除くため、蒸留したての溶媒を用い、遮光下で行った。一方、無置換のβ-ナフトールを基質に用いた場合にも、磁場中心から離れた位置で最大の不斉誘起が観測された。しかし、反応時間を長くすると収率は向上するものの、成績体であるBINOLの光学純度は低下した。収率を20%程度に押さえた場合、生成物の光学純度は1〜2%eeながら、再現性も見られている。生成物の光学純度が低下した要因については、反応の初期段階と触媒活性種の構造に変化が生じたためか、生成物のラセミ化によるものか精査中である。生成してくるBINOLについては、光学活性なBINOLを反応に添加しても顕著な不斉増幅現象が認められないことより、大きな影響はなさそうである。生成物の光学純度が磁場強度に比例しないことより、酸化カップリングにおいて、ラジカル中間体の一重項と三重項励起状態の差が明確にでなくなるほどの強磁場では不斉発現が見られないか、β-ナフトール誘導体の酸化カップリングにおいて、磁場は二次的に不斉発現にかかわっている可能性が示唆された。
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