研究課題/領域番号 |
10212208
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
工藤 一郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
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研究分担者 |
有田 斉 塩野義製薬(株), 創薬第二研究所, 所長
村上 誠 昭和大学, 薬学部, 助教授 (60276607)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
35,600千円 (直接経費: 35,600千円)
2001年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2000年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1999年度: 8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
1998年度: 8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
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キーワード | ホスホリパーゼA2 / アラキドン酸 / シクロオキシゲナーゼ / プロスタグランジン / リン脂質 / ビメンチン / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / リン酸化 / ホスホリパーゼA_2 / ピメンチン |
研究概要 |
哺乳動物細胞には、通常mMレベルのCa^<2+>を活性発現に必要とする10種の分泌性PLA_2(sPLA_2)と、μMレベルのCa^<2+>で活性化する細胞質PLA_2α(cPLA_2α)が存在する。我々は、これらCa^<2+>依存性PLA_2のうち、特定の分子種のみが効率良くプロスタグランジン(PG)産生系と連関することを明らかにしてきた。本研究班では、その効率を規定するPLA_2相互作用因子の探索を行い、以下の結果を得た。 1.cPLA_2αと相互作用する因子の検索 cPLA_2αは細胞活性化に伴う細胞質Ca^<2+>の一過的上昇に伴って核周辺膜に移行し、これにcPLA_2α分子内のC2ドメインが重要である。我々はFar-Western法を用いて、cPLA_2α結合蛋白を探索した。その結果、cPLA_2αは分子内のC2ドメインを介して、中間径フィラメント構成蛋白であるビメンチンのHead domainにCa^<2+>依存的に結合することを見出した。更に、ビメンチンのHead domainを細胞に過剰発現すると、cPLA_2α依存的なアラキドン酸遊離とPGE_2産生はdominant-negative的に抑制された。このことから、ビメンチンが核膜周縁のcPLA_2αアダプターとして機能していることが強く示唆された。 2.sPLA_2と相互作用する因子の検索 II型に属する一群sPLA_2(IIA,IID,IIE,V型)は塩基性の酵素であり、高いヘパリン親和性を有する。我々はこれら一群の酵素が細胞表層のGPIアンカー型ヘパラン硫酸プロテオグリカンであるグリピカンに結合し、炎症刺激に伴ってカベオリンに富む小胞に集積した後、核周辺膜に局在性を変化させることが明らかとなった。核周辺膜にはアラキドン酸代謝系下流酵素であるCOXやLOXが存在しており、これらsPLA_2による核周辺膜からのアラキドン酸遊離は、酵素間での効率的な基質の受け渡しにおいて合目的的である。一方、X型sPLA_2はヘパリン非結合性の分子種であり、細胞外から容易に形質膜外層のホスファチジルコリン(PC)に作用してアラキドン酸を遊離する。IIF型sPLA_2はII型様酵素の中で唯一酸性蛋白であり、他のII型様酵素とは異なりヘパリンに対する結合性を示さず、形質膜外層の膜修飾ドメインに作用してアラキドン酸遊離を惹起する。この時、IIF型酵素に特有のC末端延長配列が形質膜への結合を促進する。III型sPLA_2はハチ毒由来sPLA2と相同性の高いsPLA_2ドメインと、N末ドメイン、C末ドメインからなり、他のsPLA_2と比べて分子量が著しく大きい。sPLA_2ドメインは本酵素の触媒機能の細小単位であり、形質膜外層のPCに作用してアラキドン酸を遊離する。また、N末及びC末ドメインは本酵素を細胞接着斑の先端部に集積させる機能を持つ。
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