配分額 *注記 |
28,700千円 (直接経費: 28,700千円)
2001年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
2000年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1999年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1998年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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研究概要 |
成熟小脳皮質には、プルキンエ細胞が1層に並び、このニューロンにはバーグマングリアとよばれる星状膠細胞が付随し、プルキンエ細胞のシナプス伝達調節などに重要な役割を果たしている。樹状突起の形態分化におけるグリアの役割を明らかにする目的で、発達マウス小脳におけるプルキンエ細胞とバーグマングリアの構造的関係を細胞マーカーを用いた組織化学法および電子顕微鏡を用いて解析した(Yamada et al.,J. Comp. Neurol.418:106-120,2000)。その結果、発達段階のバーグマングリアは移動中の顆粒細胞とプルキンエ細胞の成長樹状突起の両者に親密な構造親和性を保持していることを見い出し、グリア突起が樹状突起の伸展を誘導していることが示唆された。この成果に基づき、発達段階における両者の構造的・機能的関連についての総説としてまとめた(Yamada and Watanabe, Anat. Sci. Int.77:94-108,2002;山田と渡辺、神経研究の進歩,46,507-515,2002)。 また、L-セリンは、タンパク質を構成する20種の基本アミノ酸の1つで、生体内で合成できる非必須アミノ酸である。このアミノ酸は、フォスファチジルセリンやセラミドなど生体膜脂質や核酸塩基の骨格など、さまざまな細胞構成成分の合成出発材料にも利用されている。2000年、理化学研究所の古屋・平林らの研究チームは、培養ニューロンを用いた解析からグリアリッチな培養上清にはニューロンの生存や樹状突起伸展を強力に促進する因子が含まれていることを見い出した。さまざまなアプローチの結果、この神経栄養因子が、グリア細胞が放出するL-セリンであることを突き止め、我々北大解剖学教室がその組織解析を担当した(Furuya et al.,PNAS,97:11528-11533,2000)。その結果、セリン合成酵素3PGDHはニューロンには全く発現せず、その周囲でニューロンを取り囲む星状膠細胞と嗅神経被覆グリアに選択的に発現している事実が判明した(Yamasaki et al.,J. Neurosci.21:7691-7704,2001)。この成果は、セリンを介する新たなニューロングリアの代謝連携が、シグナル伝達の場となる寿所突起の形成分化に重要であることを明らかにした。
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