配分額 *注記 |
41,000千円 (直接経費: 41,000千円)
2001年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2000年度: 10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
1999年度: 11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
1998年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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研究概要 |
高度に分化した細胞におけるオルガネラの多彩な機能に注目し,細胞の基本的機能に必須であるV-ATPaseに着目して,サブユニット構造を詳細に検討した.膜内在性部位を構成するaサブユニットは4つの異なる遺伝子(a1,a2,a3,a4)によってコードされ、未分化な繊維芽細胞では,a1はcoated vesicle, a2はゴルジ装置,a3は後期エンドソーム,リソソームと,それぞれ特徴的な細胞内局在を示す.すなわち,膜内在サブユニットaのイソフォームがV-ATPaseの多様な細胞内局在を担っていることが示された. オルガネラの構築に関与する分子(syntaxin-7,mammalian Vam proteinsなど)は多様な細胞において機能している.これらの優性阻害型変異分子の発現により,オルガネラ形態と機能が著しく変化することから,エンドソーム・リソソーム関連オルガネラ構築のコアとなる分子であることが示された. 以上の結果,オルガネラ機能を直接的に実現化する分子(V-ATPase)と,機能単位の構築に関わる分子(syntaxin-7)の両方に関する研究を完成した.そこで,細胞の分化に伴ってオルガネラが機能を獲得する過程を,破骨細胞を実験系として解析した. 破骨細胞の分化において,未分化時には後期エンドソーム・リソソームに局在するa3,Lamp-2等が形質膜に局在するようになることを明らかにした.この際,syntaxin-7分子はエンドソームに留まることから,オルガネラ膜の局在変化には新たな選別の過程が関与する. ゴルジ装置以降のオルガネラ膜のダイナミクスは,高等生物が示す多彩に分化した細胞機能を理解する上で極めて重要であることが一連の研究により示された。これらの成果は多様な分化形質によって担われる生体機能の異常(骨代謝異常,内分泌関連疾患など)の診断と治療の面で新たな視点を指摘した研究結果である.
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