研究課題/領域番号 |
10216202
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大坪 栄一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10158800)
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研究分担者 |
関根 靖彦 立教大学, 理学部, 助教授 (80222074)
大坪 久子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (20158801)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
45,700千円 (直接経費: 45,700千円)
2002年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2001年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
2000年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
1999年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1998年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | トランスポゾン / トランスポゼース / ゲノム再編 / 腸管出血性大腸菌O157 / 転移 / 挿入因子 / プラスミド / バクテリア / DNAの切断・再結合 / RecQへリカーゼ / 末端逆向き配列 |
研究概要 |
トランスポゾンは、自身がコードするトランスポゼースの働きにより転移すると共に、遺伝子の再編を促し、ゲノムを改変する。本研究は、バクテリアの数多くのトランスポゾンにより構成される三つのファミリーの代表で、それぞれ異なる様式で転移する挿入因子IS3、IS1とアンピシリン耐性トランスポゾンTn3の切断・再結合による転移の機構を解明することを目的としたものである。IS3は特異的な8の字型分子から環状分子として切り出され、直鎖状分子に変換されたのち標的分子に組み込まれると考えられているが、本研究において我々は、精製したトラシスポゼースがIS3の末端逆向き配列(IR)に結合しIRの一方の端をもう一方の端とDNA鎖連結反応により8の字型分子を形成すること、この反応はトランスポゼースが一方のIRの末端側ドメインと他方のIRの内側ドメインに結合し2つのトランスポゼース分子と両端のIRから成る複合体の形成を通して起こることを明らかにした。さらに、IS3のトランスポゼースが、IS3を運ぶプラスミドと標的プラスミド間で融合体をIS3自身の複製を伴って形成する能力を持つことを見出し、単純挿入体を与える別の経路が存在することを提示した。IS1に関して我々は、IS1の転移に宿主因子H-NSが必須であること、また、古細菌を含む様々な細菌に存在するIS1ファミリー因子にコードされるトランスポゼースのC末に保存されている3つの酸性アミノ酸残基D,D,Eが活性中心として機能するモチーフを形成することを明らかにした。また、IS1のトランスポゼースのN末にはhelix-turn-helixと共にZinc-fingerモチーフが自身のIR DNAへの結合に関与していることを明らかにした。Tn3に関しては、そのトランスポゼースによる転移の第一段階のIRの3'末端ニッキング反応を解析し、それが宿主のACP(acyl carrier protein)によりクロマチン様構造を形成することによって促進されることを示した。一方、病原性大腸菌O157とEPECに存在するプラスミド、さらにO157のゲノムに存在する様々なISを同定し、ISが各種病原遺伝子の付与に関係していること、欠失・重複・逆位などり変異の作出にも関与していることを明らかにした。さらに、大腸菌K-12株、O157、さらに他の種々の病原性大腸菌において挿入・欠失・逆位・置換変異に基づいた系統樹を作成し、系統関係を明らかにした。
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