研究課題
特定領域研究
平成10〜12年度は、Tol2因子の転移機構の解明の研究をすすめた。つぎのような成果が得られた。(1)4.7kbの因子本体の中の、転移反応に必要な部分と不要な部分を区別した。(2)切り出し頻度を揖標として、転移酵素の遺伝子をもっている、Tol2因子のコピーを特定した。(3)メダカの細胞から、転移酵素のmRNAを単離した。(4)バクテリアの薬剤耐性遺伝子を組合わせた系を利用して、メダカの細胞で挿入が起こることを照明した。(5)挿入の標的部位は正確に8塩基対であり、その塩基配列として特定のものを選別する傾向はないことを明らかにした。平成13〜14年度は遺伝子操作技術への応用を中心にして、研究を遂行した。以下の成果が得られた。(1)転移酵素の遺伝子に核移行シグナルを付加して、転移頻度を3倍に上げることができた。(2)緑色蛍光タンパク質の遺伝子をTol2因子の内部に入れて、これをメダカの染色体に転移反応で組込むことができることを示した。(3)メダカの体細胞だけでなく生殖系列の細胞にも組込まれ、これが以降の世代に遺伝することを証明した。(4)ゼブラフィッシュでもほぼ同じ効率で遺伝子導入ができることを示した。5)ヒトおよびマウスの培養細胞で、メダカと同じ様式でTol2因子の転移が起こることを証明した。(6)Tol2因子の転移酵素タンパク質の細胞内での所在を直接調べて、核外への移行を指令するシグナルがあることを示す結果を得た。(7)転移酵素を分割してこのシグナルの位置を調べ、転移酵素全体に機能は分散しているものの、中央部の33アミノ酸に最も強いシグナルがあることを示した。(8)メダカ個体への放射線照射で高頻度の転移が誘発されることを示した。
すべて その他
すべて 文献書誌 (25件)