配分額 *注記 |
32,700千円 (直接経費: 32,700千円)
2002年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2001年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2000年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1999年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1998年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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研究概要 |
研究代表者らは,酵母の液胞に新しいタイプのプロトン輸送性ATPase(V-ATPase)が存在することを発見した(1980年).これは酵母液胞膜上の主要なH^+ポンプである.本酵素は少なくとも13個のサブユニットから構成されている超巨大分子である.さらに,その細胞生理機能に関する研究から,V-ATPaseが液胞機能のダイナミックス、とくに,細胞内遊離カルシュウム濃度およびpH調節に不可欠の役割を果たしていることを見いだした(1981-1996年). 本研究では、1)V-ATPaseのプロトンポンプとしての機能特性を新たに開発したwhole patch clamp法により詳細に解明した.ATP依存性の液胞内腔への電流を測定し,生理的条件下に100pAの内向き電流の発生が観測され,そのときのH^+/ATP比は3.5はあった.この結果は,液胞V-ATPaseが生理的にプロトンポンプとして働いていることを直接証明することとなった.2)V-ATPaseの構成成分とはならず分子集合と活性調節に関与している新規遺伝子(VMA14,VMA15など)の構造と遺伝子産物の生理機能を解明し,V-ATPaseの超分子集合体形成の制御機構に新たな知見を加えた.3)VMA遺伝子群およびそれらと機能的に関連する新規遺伝子群(STT3,VIS1など)の変異によって生ずる細胞内遊離カルシュウム濃度の調節異常および増殖制御の不調にかかわる分子生理学・遺伝学的研究を行った.Vis1pは214アミノ酸残基からなる新しい膜蛋白質であり,N-末端領域に膜貫通ドメインを持ち,C-末端領域にmyristylation siteを含むことが判明した.興味深いことに,vma3 ubp3二重変異株はvma3 vis1二重変異株と同様にFK506に対して超感受性の表現型を示した.この所見と従来の実験成績,および文献情報を総合して,Vis1pはUbp3pがかかわる細胞質因子によって制御される新規蛋白質か,その因子と協調し液胞膜上で細胞増殖の制御にかかわる新規機能を発現していると結論した.
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