配分額 *注記 |
54,600千円 (直接経費: 54,600千円)
2003年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2002年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2001年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
2000年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1999年度: 8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
1998年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
|
研究概要 |
哺乳動物の神経発生過程では、初め神経前駆紳胞が増殖のみを行うが、やがてニューロンに分化する。我々は今までに、神経前駆細胞の維持には抑制性bHLH因子Hes1,Hes3,Hes5が、ニューロンの分化には促進性bHLH因子Mash1,Ngn2,Math3,NeuroDが重要な役割を担うことを明らかにしてきた。しかしながら、多くのbHLH因子群は機能を代償しあうのでシングルやダブルノックアウトマウスでもまだ機能の代償がみられた。そこで、今回トリプルノックアウトを作製し、神経発生過程の異常を解析した。 その結果、Hes1-Hes3-Hes5トリプルノックアウトの脊髄では、胎生10.5日ですでに神経前駆細胞は消失し、すべて正常よりも早くニューロンに分化していた。このニューロンはすべて早く生まれるタイプのもので遅く生まれるものは無かった。また、グリア細胞や上衣細胞の形成は見られなかった。したがって、抑制性hHLH因子Hes1,Hes3,Hes5で脊髄のほぼすべての神経前駆細胞の維持を制御することが明らかになった。 続いて、促進性bHLH因子Mash1,Ngn2,Math3,NeuroDに注目し、トリプルノックアウトマウスを作製した。その結果、Ngn2-Math3-NeuroDトリプルノックアウトマウスの網膜では内顆粒層のインターニューロンのほぼすべてが消失していた。一方、Mash1-Math3-NeuroDトリプルノックアウトマウスの網膜では外顆粒層にある光受容細胞が著しく減少していた。したがって、促進性bHLH因子Mash1,Ngn2,Math3,NeuroDはお互いに機能を代償しあって網膜ニューロンの形成を制御することが明らかになった。
|