配分額 *注記 |
39,320千円 (直接経費: 38,600千円、間接経費: 720千円)
2001年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2000年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1999年度: 10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
1998年度: 19,100千円 (直接経費: 19,100千円)
|
研究概要 |
キャリアー数が非常に少ないCeモノプニクタイト,Yb_4As_3等の物質は,比較的不安定な4f電子軌道と希薄なキャリアーとの相互作用に基づくと思われる,多くの興味深い新しい物理的現象を示す.本研究の目的は,これらの新しい現象の背後にある物理を,中性子回折およびX線線回折の手法により実験的に明らかにすることにあった.主な研究結果は以下の通りである:(1)Ceモノプニクタイト(CeP, CeAs, CeSb)に関して,主として超高圧下・高磁場下の中性子回折およびX線回折の実験を行い,その結果,これらの物質の磁気秩序状態においては,結晶場の基底状態(Γ_7)にあるCeイオンの格子の中に,ほぼ飽和に近く磁気的に分極したCeイオンの層が生じこれらが周期的に配列して,特異な長周期磁気構造を形成していることを明らかにした.また,各物質の示す磁気構造とこれの圧力依存性は,これらの物質のキャリアー数とその圧力依存性によって統一的に理解できることを明らかにした.このことから,Ceモノプニクタイドの特異な物性が,P-f混成効果を媒介にした磁気ポーラロン効果で理解できることを示した.(2)Yb_4、As_3に関しては,本研究に先立つ研究により,この物質が290K以下の温度で電荷秩序を示し,これにより生じたYb^<3+>イオンの1次元配列が,S=1/2ハイゼンベルグ模型に従う1次元磁性を示すことが明らかになっていたが,この物質の磁場下の比熱等がこの模型では説明できず謎であった.これに対し本研究において磁場下の中性子散乱を綿密に行った結果,磁場下の磁気励起にギャップが生じること,および,このエネルギーギャップの振る舞いが,Yb^<3+>イオン間のジャロシンスキー・守谷相互作用に起因する誘起交替磁場であるとする理論とよく一致することを示した.この研究結果は,Yb_4As_3が,希土類化合物としては初めての,量子磁性を示す新しいモデル物質であることを示している.
|