研究課題/領域番号 |
10304031
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
梶田 晃示 東邦大学, 理学部, 教授 (50011739)
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研究分担者 |
田村 雅史 理化学研究所, 先任研究員 (00231423)
西尾 豊 東邦大学, 理学部, 助教授 (20172629)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 有機伝導体 / 電流磁気効果 / ホール効果 / ナロウギャップ半導体 / 圧力効果 / 一軸性圧縮 / ナローギャップ半導体 |
研究概要 |
有機伝導体の中にほとんど温度依存性のない電気伝導性を示す物質が数多く存在する。温度変化しない電気伝導性は一般に結晶が不純であることを示すと考えられているが、本研究の結果、有機伝導体の中には、非常に純粋であるにもかかわらず、電気伝導度が温度変化しない物質群があることが明らかになった。それらの物質では、電気伝導担体の濃度は非常に大きな温度変化をする(物質によっては、室温と1Kの間で6桁に及ぶ濃度の減少がおこる)。ところが一方で担体の移動度が温度低下と共に急激に上昇するために、二つの効果が互いに相殺して、温度依存性の無い電気伝導性を示すのである。相殺の程度は高く、室温と1Kの間で電気抵抗は1桁以下の変化しかしない。低温における担体濃度の解析から、これらの物質は非常に狭いエネルギーギャップを持った半導体であることが明らかになった。 以上述べたような性質を持った電気伝導体は有機物、無機物を問わず始めて発見されたもので、新しい型の伝導体が出現したと言える。現在の所、α-(BEDT-TTF)_2I_3、α-(BEDT-TSeF)_2I_3、θ-(BEDT-TTF)_2I_3、α-(BEDT-STF)_2I_3などがこの型に属する。ただし全て高圧力下に置かれた場合である。 以上の物質では低温に於いて、電気伝導性が磁場に非常に強く依存することが発見された。たとえば、α-(BEDT-TTF)_2I_3の場合、磁場中の伝導担体の性質は少なくとも3段階の変化をする。第一は、ゼロ、ないし非常に弱い磁場中の状態である。この時、担体は自由電子の0.02倍程度の質量を持つ。第二は温度にも依存するが、1T程度の磁場中の状態。この時、担体は自由電子と同程度の質量を持つように振る舞う。第三は10T以上の高磁場中での状態で、この場合、担体は非常に大きな質量を持つように思われる。この、3段階の変化に応じて、物質中の担体濃度も3段階の変化をすることも明らかになった。
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