研究分担者 |
佐藤 比呂志 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00183385)
平田 直 東京大学, 地震研究所, 教授 (90156670)
吉井 敏尅 東京大学, 地震研究所, 教授 (40012950)
森谷 武男 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60001864)
在田 一則 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30091408)
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研究概要 |
平成11年度反射法地震探査のデータ処理を,集中的に行った.NMO処理の後の速度解析を入念に行い,反射断面を作成した.記録には,以下のような特徴が見られた. (1-1)日高山脈の東側の往復走時3-4secの範囲に非常に強い反射面が見られる. (1-2)日高山脈の西側の往復掃除2secに,西上がりの反射面が見られる. (1-3)(1-1)で見られた反射面の下にも,連続性があまりよくないもの幾つかの"event"が見られる. また,offline観測による観測データに対する最終的処理を完了させ,反射法データと組み合わせて探査領域の地殻浅部構造の解析を行った.その結果は,以下のように要約できる. (2-1)日高山脈の東側では,表層(堆積層)が大変薄く,速度が5.8-6km/sの物質がほぼ地表に露出している. (2-2)日高山脈下では,中部・下部地殻を構成する岩石が報告されている.しかしながら,今回の探査から求めらた速度は,これらの岩石の弾性波速度から期待される値に比べて0.2-0.5km/s程度低い. 平成11年度に,地震予知研究計画の一環として,本科学研究費の側線の東側で,深部地殻構造解明のための反射法地震探査が行われた.本科学研究費の結果と,この地震予知研究計画による探査結果を総合すると,以下のような地質学的解釈ができると考える. 日高山脈南部で報告された地殻の剥離現象は,今回の探査地域の日高山脈北部でも進行しているものと思われる.(1-1)及び(1-2)で認められた反射面は,一連のものと考えられ,剥離された地殻の上半分が日高側に衝上しているのであろう.この衝上している部分を構成している岩石は,少なくとも地表から2-3kmの部分では,0.2-0.5km/sの速度低下を起こしている.その理由として,衝突に伴い,中部地殻・下部地殻の岩石が断片化されたこと,crackの密度が増加したこと等が考えられよう.
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