研究分担者 |
高須 晃 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00183848)
沢田 順弘 島根大学, 総合理工学部, 教授 (80196328)
飯泉 滋 島根大学, 総合理工学部, 教授 (80032639)
土谷 信高 岩手大学, 教育学部, 助教授 (50192646)
吉田 武義 東北大学, 理学部, 教授 (80004505)
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研究概要 |
西南日本弧の変成岩・深成岩・火山岩についてその年代論と地球化学的特性を明らかにして,白亜紀以降の西南日本弧リソスフェアの形成史を検討した.白亜紀から古第三紀の日本海拡大以前は,山陽-山陰帯を中心にマグマ起源の大規模酸性火成作用がある.これらは典型的な島弧マグマだけでなく,アダカイト的な特徴を持つ酸性岩類が活動しているが,同位体組成からみると,スラブ融解によるものではなく,下部地殻の融解に起因するものと考えられる.日本海拡大後には,フィリピン海スラブの沈み込みが始まり島弧地殻融解による火成作用とともにスラブ物質が寄与した高マグネシア安山岩や,背弧側のアルカリ火山岩類が活動を開始した.その後西進するフィリピン海スラブは火山弧前縁部の火成活動を衰退させ,更新世に入ってから後には,スラブ融解が起こってアダカイト,カルクアルカリ岩,アルカリ岩が共存する山陰帯の火成作用をもたらした.それらの起源は,深部アセノスフェア由来のアルカリ岩,スラブ融解に起因するアダカイト,さらに最上部マントルから地殻融解に起因するカルクアルカリ岩であると考えられ,背弧海盆拡大の後に起こったスラブ沈み込みの再生が,島弧リソスフェアの熱構造と物質収支の形成に大きな役割を果たしたと考えられる.これらの成果は,火成岩の年代決定と同位体・微量成分化学組成を含む地球化学的トレーサの総合的検討結果から導かれたものである.
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