配分額 *注記 |
37,800千円 (直接経費: 37,800千円)
2000年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1998年度: 27,700千円 (直接経費: 27,700千円)
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研究概要 |
わが国内外に産出する岩石試料の収集・観察・記載・分析,高温高圧実験装置による鉱物の合成と岩石の部分融解実験を行った.国内での試料採集と野外調査は日高変成帯,阿武隈変成帯,領家変成帯,大峰山地などに産出する高度変成岩類と火成岩類を対象に実施した.海外の試料に関しては,スリランカ,南アフリカ,中国から収集したものを使用した.これらの岩石試料には,地下深部で一度化学平衡に達した後の上昇過程において,多様な組成の流体相とさまざまな程度に反応し,また部分的に融解した痕跡が認められる.特にスリランカ産のコンダライトと呼ばれる岩石に見られる局所的な反応例は,H_2OでもCO_2でもない別の組成の流体相の存在を強く示唆している.また中国の超高圧変成岩には部分融解を示唆する多様な組織・構造が見られ,100km程度の深度まで押し込められて高密度化した大陸地殻構成物質が上昇するためには部分融解が重要な過程であることが示唆された.一方,走査電子顕微鏡カソード・ルミネッセンス観察装置によって,大峰山地に産出する花崗岩中の他形石英結晶の内部に,おそらく世界で初めて自形的な成長累帯構造が観察され,地下深部でのマグマの結晶化過程について新しい手掛かりが得られた.また大峯山地の花崗岩から発見された新鉱物「大峯石」の成因とホウ素の挙動に関する新知見とを論文化した.高温高圧実験では,岩石に少量の水を加えると比較的低温で鉱物の粒間にそって局所的に部分融解が進むが,それは予想通り限定された共融反応であり,メルトの組成も著しく限定されているが,温度上昇とともに,融解度が上昇し,多様な組成のメルトが形成されることが実証された.
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