研究課題/領域番号 |
10305006
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
表面界面物性
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹田 精治 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70163409)
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研究分担者 |
河野 日出夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00273574)
大野 裕 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80243129)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
40,400千円 (直接経費: 40,400千円)
2000年度: 9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
1999年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1998年度: 24,300千円 (直接経費: 24,300千円)
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キーワード | シリコン / 表面 / ナノ構造 / 電子線照射 / 点欠陥 / ナノストラクチュア |
研究概要 |
本「基盤研究」の研究対象は、電子線を照射したシリコン結晶表面において自己形成的に発生するナノメーターサイズの空洞、すなわち「シリコン表面ナノホール」である。シリコン表面ナノホールは、数年前に研究代表者がシリコン薄膜を透過電子顕微鏡法により観察している際に、偶然に見いだされた。その生成条件、構造、および生成メカニズムについて初期的な研究はなされていたが、本科学研究費補助金を得て初めて透過電子顕微鏡法、走査トンネル顕微鏡法などによる系統的な実験が可能となった。試料温度は低温4Kから700Kの範囲、入射電子の加速電圧は30から200keVとした。膨大な実験データの解析と、表面ダイナミックスについてのコンピュータ・シミュレーションの結果も考慮して、シリコン表面ナノホールの生成メカニズムを「表面における単一点欠陥の生成、電子線照射下での拡散、引き続くクラスタリングによるナノホールの生成、そして異方的な点欠陥拡散によるナノホールのエクスケーベティング」として統一的に説明できたと考えている。従来、シリコンの表面研究においては「表面における点欠陥の生成、拡散、クラスタリング」は殆ど考慮されることがなかった。 さらに研究計画に従って遂行した実験の途中で、「電子線照射によるシリコン結晶の非晶質化」という従来の常識を覆す新現象を見い出すことができた。この現象も点欠陥クラスタリングの立場から説明され、シリコン結晶の非晶質化についての新しいメカニズムが提示された。 本「基盤研究」成果は、基礎的な観点のみならず電子線照射によるナノファブリケーションは将来のマイクロエレクトロニクスおよびナノエレクトロニクスの重要技術となるとも考えられる。以上のように、本「基盤研究」の成果として、非平衡状態におけるシリコン結晶表面の原子ダイナミックスについて新しい描像が得られた。この成果が今後のシリコン・ナノテクノロジーにおける基礎データとして役立つことを期待している。
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