研究概要 |
ナノメートルの精度・分解能で,ミリメートル以上の空間をカバーする機構を実現するため,本年度は,以下の研究を行った. (1)NMMのダイナミクス ボールガイドなど,鋼球を用いた位置決め機構の停止時のナノモーションメカニズムを検討した.具体的には,接触部を鋼球のみに限定するため,V字溝に鋼球を挟んだ上下のレールのうち,上部を板ばねで固定,下部を空気静圧ガイドによって支持し,空気静圧ガイドをリニアモータで駆動する位置決め機構を試作した.この試験機において,停止時の鋼球の弾性変形の影響と考えられる,移動テーブルの引き戻し現象を新たに確認した. (2)冗長メカニズムの制御 送りねじ機構上に,圧電素子による微動機構を組み込んだ粗微動機構に対して,各種制御方法を適用し,各制御系の位置決め時間,可動質量変動,ステップ高さ変化に対するロバスト性などの制御性能を,実験とシミュレーションにより評価比較した.本年度は,ファジイ制御,ニューロ制御を検討した.昨年行った,PID制御,状態フィードバック制御,スライディング制御,および,H∞制御に比較し,優れた制御性能を示した. (3)超精密非接触電磁アクチュエータ 電磁石の吸引力を利用した電磁石アクチュエータの非線形特性に着目し,バイアス電流量を変化させた場の,位置決め精度などに関して検討を進めた.その結果,電磁石のバイアス電流は,位置決め精度の向上には,有効であるものの,発熱の観点からは問題があることが明らかになった.このことを踏まえ,新たに部分バイアス電流法を提案し,低発熱,高精度な磁気アクチュエータの位置決めに有効であることを明らかにした.
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