研究概要 |
電気的解析手法と構造的解析手法の融合によるシリコン酸化膜の破壊機構に関する研究として、下記の事を行った。 (1)測定装置、データ解析装置の設備 シリコン酸化膜評価システムの制御プログラムを整備し、研究環境を整備した。 (2)電気的絶縁性劣化現象の注入電荷依存性の明確化 シリコン酸化膜への電荷の注入法を変化させる事によって、その破壊現象における電気的特性の変化を測定した。具体的には、シリコン酸化膜への高エネルギー電荷の注入極性を変える、又は、注入間隔を変える等高エネルギー電荷のシリコン酸化膜中への注入方法を違え、シリコン酸化膜の異なる領域に選択的にストレスを印加することで、シリコン酸化膜の電気的絶縁性の劣化現象を測定した。 (3)シリコン酸化膜の膜構造に関する研究 本研究では,シリコン酸化膜の形成条件に対するシリコン酸化膜の均一性を解析した。シリコン酸化膜の膜構造等を解析する際には,XPS(X-Ray Photoelectron Spectroscopy),AFM等を用いた。その結果,シリコン酸化膜を形成する際の初期界面に,窒素原子が導入されている事を抑制することで,シリコン酸化膜の均一性が向上することが明らかになった。 (4)電気的絶縁性劣化現象の注入電荷依存性の明確化 シリコン酸化膜評価システムを用いて、酸化膜厚6.8nmのシリコン酸化膜に対し,電荷の注入法を変化させる事によって、その破壊現象における電気的特性の変化を解析した。その結果,上記サンプルにおいては,FNトンネリング電子注入によって,シリコンとシリコン酸化膜の界面より4.47nmの位置に,2.3eVのトラップサイトエネルギーを持つ中性トラップが選択的に形成されることによって,絶縁性の劣化現象が発生していることが明らかになった。また、シリコン酸化膜厚依存性に関しても解析した。
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