研究分担者 |
杉町 圭蔵 九州大学, 医学部, 教授 (00038762)
中澤 浩二 九州大学, 工学研究科, 助手 (00304733)
井嶋 博之 九州大学, 工学研究科, 助教授 (10274515)
調 憲 九州大学, 医学部, 助手 (70264025)
島田 光生 九州大学, 医学部, 講師 (10216070)
宇都宮 徹 九州大学, 医学部, 助手 (30304801)
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研究概要 |
1.ブタ肝細胞の大量調製法の確立 ヒト用ハイブリッド型人工肝臓作製に有力なブタ肝細胞の大量調製法として,コラゲナーゼ灌流処理と濾過分別処理を組み合わせた方法を確立した。この方法によって,体重約10kgのブタ2匹の摘出肝臓(約570g)から,約3時間で生存率85%以上の肝細胞を380g以上調製が可能になった。 2.ヒト用ハイブリッド型人工肝臓の開発 ヒト用人工肝臓モジュールとして,ブタ肝細胞100gを充填できる体積1000cm^3(7.7×20cm)の多細管ポリウレタン発泡体(PUF)充填層型モジュールを作製した。モジュールを培養した結果,PUF孔内でスフェロイドが形成され、良好な機能を少なくとも10日間以上維持することを確認した。また,酸素,pH,温度の制御装置の導入と良好な物質交換を達成する工夫を施した人工肝臓用体外循環システムを作製した。 3.肝不全ブタを用いたハイブリッド型人工肝臓の前臨床試験 前臨床試験として,ブタ肝細胞200gを充填した上記のハイブリッド型人工肝臓補助システムを体重約25kgの温虚血肝不全ブタに適用した。その結果,血中アンモニアの正常値の維持,血糖値の維持,血圧や尿排泄機能の維持,延命など良好な治療効果が得られた。 4.ヒト-ブタ間の免疫反応抑制法の検討 ヒト血清を用いたブタ肝細胞の培養実験により,ヒト補体C3がブタ肝細胞に沈着し,細胞傷害を引き起こすことを明らかにした。これに対して抗凝固材のフサンを用いることにより,ヒト補体C3のブタ肝細胞への傷害が抑制されることを見出した。 以上,本システムの有効性が示されたことを受け,平成11年7月2日に九州大学倫理委員会へ臨床応用の審議を申請した。現在,臨床実現に向けて詳細な検討を進めている。
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