研究分担者 |
三上 襄 (三上 嚢) 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (40092100)
福島 和貴 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (90114321)
西村 和子 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (00114314)
田中 玲子 千葉大学, 真菌医学研究センター, 助手 (60143319)
横山 耕治 千葉大学, 真菌医学研究センター, 助教授 (80092112)
杉浦 義紹 東京理科大, 薬学部, 助手 (10196719)
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研究概要 |
生物資源の一つとして重要視されている微生物の保存は,微生物学の根底をなす仕事である。保存に際しては,菌株を生存させるだけでは不十分で,分離あるいは実験当初からのその遺伝的性質が保持されていなければならない。微生物は,保存の過程において性質が変化し易い。従って保存における遺伝子構造あるいは情報の変動について知見を得ることは極めて重要な意義を有する。我々は,世界諸国から病原真菌・放線菌の収集を試みてきた。それらは,真菌症原因菌として最も重要なCandida albicans, Cyptococus neoformans, また新興原因菌であるCandida dubliniensisなどの病原性酵母類,Trichophytophyton mentagrophytes等の皮膚糸状菌類,Paracoccidioides brasiliensis,等の輸入真菌症原因菌,Nocardia brasiliensisなどの放線菌症原因菌,Fonsecaea pedrosoi等の黒色真菌症原因菌である。この他マイコトキシン生産菌,発酵食品の応用に利用される菌類が分類されているAspergillus属菌についても収集を行った。これら菌類については,分類,同定,系統発生,分子診断,分子疫学,分子生態学などの観点から研究を行い,ribosomal DNAの種々の領域,cytochrom b遺伝子などのゲノム情報を蓄積した。この他,病因因子としての酵素類の遺伝子解析,さらに種内変異情報についても明らかにした。二次代謝物質の生産性と保存に関する研究課題では,抗真菌活性などをもつ新規物質や病因性物質と生産菌との関連に関するデータが蓄積された。保存の問題では,一定の時間経過後の解析が必要となる。近年,各微生物の機能遺伝子の総数が判明すると同時に,それら機能遺伝子を特定する方法が次第に一般化しつつあり,より身近なものとなった。本研究により得た遺伝子情報は,それらの方法と照らし合わせ行うことにより,保存におけるゲノム情報の変化を知る貴重な基礎データになる。
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