研究課題/領域番号 |
10307007
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
真弓 忠 自治医科大学, 医学部, 教授 (00049016)
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研究分担者 |
高橋 雅春 自治医科大学, 医学部, 助手 (70326841)
西澤 勉 自治医科大学, 医学部, 助手 (30306112)
岡本 宏明 自治医科大学, 医学部, 助教授 (30177092)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
28,180千円 (直接経費: 26,500千円、間接経費: 1,680千円)
2001年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2000年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1999年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
1998年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
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キーワード | TTウイルス / TTV / 遺伝子型 / 環状1本鎖DNA / 分子系統樹 / PCR / 肝疾患 / 肝外疾患 / TTウイルス(TTV) / 複製中間体 / TTV DNA量 / 特発性肺線維症 / 電子顕微鏡像 / チンパンジー感染実験 / TTV抗体 / DNAウイルス / 超可変領域 / 血清肝炎 / 塩基配列 / TTウイルス抗体 / 遺伝子変異 |
研究概要 |
研究代表者らは、平成9年(1997年)に我が国の原因不明の輸血後肝炎患者から起因ウイルス候補として新しい1本鎖環状DNAウイルスの分離同定に世界ではじめて成功し、ウイルス発見の発端となった患者のイニシャル(T.T.)にちなんでTTウイルス(TTV)と命名した。平成10年度から平成13年度までの4年間の研究により、TTVの本態および病原性について以下の事柄を明らかにすることができた。すなわち、TTVは外殻を持たず、キャプシド内に約3.8kbの環状1本鎖(マイナス鎖)DNAを内包する直径30-32nmの小型球状粒子である。TTV DNAには主要な2つのopen reading frames(ORF1,ORF2)の他に、mRNAのsplicingによって生じる新たな2つのORFs(ORF3,ORF4)があり、stem-loop構造の形成に与る約120塩基長のGC-rich領域を有するなど、ユニークな遺伝子構造が認められる。糞便中でもTTVDNAが検出され、輸血のみならず、経口感染によっても感染しうる。遺伝子変異が顕著であり、少なくとも29種類の遺伝子型(1型〜29型)が認められ、さらに互いに塩基配列が40-50%異なる5つのグループ(Groups 1-5)に分類されうる。同一個体内に複数の遺伝子型のTTVが混在しているが、原因不明の輸血後肝炎におけるTTV感染の追跡調査および供血者におけるALT異常とTTV感染との関連性の検討により、プロトタイプである1型のTTV感染が肝疾患との関係で重要であることが示唆された。TTVは肝臓以外にも肺や骨髄、脾臓などでも増殖しうることから、肝疾患以外の疾患とTTV感染との関連性について検討した。その結果、1型TTV感染の慢性肝疾患患者では非感染肝疾患患者に比べて、血小板数が有意に低下していること、また特発性肺線維症の患者において、1型を含む特定の遺伝子型のTTV感染例では疾患活動性が高く、予後も不良であることが示唆されている。したがって、TTVの病原性を明らかにするうえで、今後も肝疾患のみならず、原因が特定されていない各種疾患とTTV感染との関連性の追求が重要であると思われた。
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