研究課題/領域番号 |
10307034
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩本 幸英 (岩本 幸秀) 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00213322)
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研究分担者 |
田仲 和宏 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (10274458)
小田 義直 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70291515)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
39,190千円 (直接経費: 37,900千円、間接経費: 1,290千円)
2001年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2000年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1999年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1998年度: 24,900千円 (直接経費: 24,900千円)
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キーワード | Ewing肉腫 / PNET / EWS-Fli1 / 融合遺伝子 / 分子標的 / EWS-Fli1総合遺伝子 / 分子生物学 / PNEN / EWS-Fli1融合遺伝子 |
研究概要 |
Ewing肉腫(ES)およびPNETは骨軟部悪性腫瘍の中で最も予後不良な腫瘍であり、90%以上の症例で特異的染色体転座t(11:22)がみられる。この転座の結果、異常な融合遺伝子EWS-Fli1が生じ、ES/PNETのがん化の原因そのものと考えられている。我々は、ES/PNET細胞株を用いEWS-Fli1融合遺伝子発現と増殖能との間に正の相関があり、EWS-Fli1融合遺伝子はES/PNETの癌化のみならず、その生物学的性質をも規定している可能性があることを示してきた。これらの結果をふまえ、本研究の目的は、EWS-Fli1融合遺伝子によって誘導される標的遺伝子を調べること、臨床検体におけるEWS-Fli1とその標的遺伝子の発現が臨床的パラメータと相関があるかを検証すること、である。ES/PNET細胞をEWS-Fli1に対するアンチセンスオリゴで処理すると増殖が阻害され、細胞周期のG1期に停止する。そこで、アンチセンスオリゴ処理前後の細胞からmRNAを抽出し、subtraction cloningやcDNA array sysytemによって、発現の変化する遺伝子群をクローニングした。この結果、EWS-Fli1の標的と考えられる遺伝子として、G1/S期移行に重要な働きをするサイクリンD1およびサイクリンE、S期に必要な遺伝子群を発現させる転写因子E2F1、細胞周期進行のinhibitorであるp21およびp27を同定した。EWS-Fli1によってサイクリンD1およびE、E2F1の発現が増強される一方、p21およびp27の発現は抑制され、細胞周期が常に高回転していることがES/PNETの発がん機構の一つであると考えられた。これらの遺伝子のプロモーター領域を解析した結果、p21については、そのプロモーターにEWS-Fli1が直接結合し、遺伝子発現を抑制することが明らかとなった。また、p27に関しては、転写レベルではなく、蛋白レベルでプロテオソームを介して分解が促進されていることも判明した。さらに、臨床サンプルを用いて、p27発現の有無と予後との相関を調べた。その結果、p27発現が低レベルである群は、高発現群に比して有意に予後が不良であることが判明した。
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