研究分担者 |
溝上 章志 熊本大学, 工学部・環境システム工学科, 教授 (20135403)
鈴木 敦巳 熊本大学, 工学部・環境システム工学科, 教授 (50040390)
古川 憲治 熊本大学, 工学部・環境システム工学科, 教授 (60029296)
原田 浩幸 熊本大学, 工学部・環境システム工学科, 助教授 (20222234)
松田 博貴 熊本大学, 理学部・地球科学科, 助教授 (80274687)
尾田 太良 熊本大学, 理学部・地球科学科, 教授 (60108454)
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配分額 *注記 |
34,940千円 (直接経費: 33,800千円、間接経費: 1,140千円)
2001年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2000年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1999年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
1998年度: 18,200千円 (直接経費: 18,200千円)
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研究概要 |
1.有明海の潮流・物質拡散の数値計算を実施し、河川流入量変化、潮位変動、諌早堤防設置、熊本新港設置、ノリ網設置、風による吹送流等に伴う流況特性について検討した。また、干潟底泥の移動を調べる数値計算手法を作成し、地形変化の予測計算を行った。さらに、台風に伴う高潮題に対して、高潮と波と潮汐とを同時に考慮した数値計算手法を開発し、これを基に有明・八代海域における想定最大被害を対象としたハザードマップを作成した。 2.泥分含有率、硫化物量、COD/強熱減量、及びCOD/泥分含有率の四つの特性を変数として、底質環境を七つの型に分類する事が出来、それぞれの型毎に底生動物の優占種が異なる事が明らかにされた。また、底生動物の生息状況の定量的な指標として多様度(H')と単位面積当たりの質重量(WWU)を用いた場合、豊かさを表す指標として、豊かさ指数(IR=H'×WWU)を提案した。この豊かさ指数に関しても、干潟環境の型の特徴がある程度現れたが、IRと干潟環境の型の間には明確な対応は得られなかった。そこで、この豊かさ指数に寄与する要因としていくつかのものを検討した結果、干潟の干出時間の寄与が大きいことが明らかになった。 3.有明海、不知火海干潟を対象とし、干潟の浄化能を自然浄化の一つである脱窒の観点より脱窒への影響因子の特定、緑川右岸河口干潟における脱窒活性の経年変化、底質の異なる干潟の脱窒活性の比較の検討を行った。その結果、脱窒への最も大きい影響因子として含泥量が挙げられ、そのことにより含泥量が約95%と非常に高く泥質である佐賀県域干潟において高い脱窒活性が得られた。また、緑川右岸河口干潟における脱窒活性の経年変化を検討した結果、脱窒活性は梅雨期の大量の降雨により窒素、炭素源の流入、蓄積が起こりやすく、かつ水温が高く脱窒菌の活性が活発な夏場に高い事が判明した。また、干潟に特異的な潮汐作用と底生動物の存在に着目し、これらによる干潟脱窒能への影響を評価した。脱窒速度と底泥の特性の関係を求めるために底生生物を導入した底泥と導入していない底泥を充填したカラムを用いて実験を行い、硝酸態窒素濃度の変化から脱窒速度を計算した。その結果から脱窒速度に及ぼす生物かく乱の効果は底泥CODや酸化還元電位に影響されることが明らかになった。 4.平成10年度に有明海中央部熊本沖の水深21-44mの4地点から採取されたピストンコア試料について,昨年度までに実施された堆積相解析,珪藻・底生有孔虫群集解析,ならびに放射性炭素年代測定をもとに,過去1万年の本海域の環境変遷史の検討を行った.その結果,現在の水深50m付近では,約9,500年前頃から海域が進入し,約7,400年前頃には熊本沖一帯が現在と同様の湾央部の環境となったと推定される.さらに約5,400年前には最も海域が広がり,熊本平野一帯は湾央部の環境となったことが明らかになった.これらの成果は,論文ならびに学会講演により公表された. 5.環境の質の社会・経済評価を行う手法の一つとしての仮想的市場評価法(CVM)を用いて、白川・緑川河口域の干潟環境の保全に対する支払意志額を新課税および税再配分方式によって評価を行い,そのときに生じる差異の原因を理論的に分析し,どの程度評価額に差異が生じるかを実証的に検証した.この結果、白川・緑川河口帯の干潟環境質の価値評価額は、新課税では約1,400円/世帯/年、税再配分では約2,000/世帯/年という結果が得られた。 6.これまでの研究成果のを一般公開を目的に、共同研究者等を中心に、有明海フォーラム"いのちの揺りかご「有明の海はいま」"〜よりよい未来のために〜を、平成13年11月22日、メルパルクKUMAMOTOにて開催し参加者約300名を得た。
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