研究課題
基盤研究(A)
(1)嗅細胞における情報交換の分子機構:嗅細胞:実験動物(イモリ、マウス)の鼻腔から酵素拡散法を利用し、生体機能を保持したままの単一嗅細胞を単離し、単一嗅細胞にパッチクランプ法を適用し、電気的活動(チャネル電流)を記録した。匂い分子、あるいは電気刺激による刺激を行い、各チャネルの開口状況をモニターし、入力-出力特性を決定する。この、入出力特性を元に、個々の細胞内情報変換要素の因子分解をする際のパラメターとする。また、最近、我々の研究室ではアドレナリンが、この入-出力特性を調節することを示唆するデータを得た。アドレナリン効果の分子機構を解明する。また、ケージド化合物を用い、シグナルトランスダクション因子の動的実態を測定した。(2)味細胞における情報交換の分子機構:カエルの舌から単一味細胞を単離しパッチクランプ法を適用し、応答発生の機構を調査した。その結果、苦み物質が直接開口するイオンチャネルが味細胞上に存在することを見いだした。さらに、この新しい苦み感受性イオンチャネルの諸性質を記述し、苦み受容の特性を検討する。(3)ヒト心理学的実験の基礎データの収集:ヒトが感ずる「香り」と生理学的データとの比較検討した。特に注目すべきはホルモンとしてのアドレナリンが、嗅細胞活動に変化を及ぼす生理学的実験結果が得られている点である。われわれは女性月経周期内で、特定期間に特異的に「香り」の受容が影響されることを見出した。
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