研究概要 |
一般に,噴流は,熱・物質の輸送,化学反応,そして噴霧・微粒化などのプロセスを伴うことが多く,流れの形態が機器の性能や安全性に密接に関連している.本研究では,ノズル出口において加えられる擾乱と大規模構造の発達に着目し,円形ノズル内部に装備された多数のミニチュア・アクチュエータによって高度にプログラム化された擾乱を生成して,噴流の多様な制御を可能とするインテリジェント・ノズルの基本設計,試作および評価を行うことを目的とした. まず,ノズル内部に18個のフラップ型電磁アクチュエータを装備した軸対称噴流ノズルのプロトタイプの試作を行った.回流水槽における,染料注入法による流れの可視化,LDVによる流速測定から,フラップの動作によって,噴流の3次元渦構造が大きく変化し,混合が著しく促進されることを示した.交互モードでは,噴流の分岐が発生することを明らかにした. インテリジェント・ノズルを,ガスタービン燃焼器への適用を想定し,同軸噴流ノズルにおける2流体の混合促進に適用を行った.アクチュエータの形状は軸対称噴流に用いたものと同様であり,外側ノズル内壁に18個のフラップ型電磁アクチュエータを設置した.まず,水噴流を用いた染料注入法による流れの可視化,LDVによる流速測定から,同軸噴流の3次元渦構造が大きく変化し,混合が著しく促進されることを示した.特に,ノズル下流で逆流域が生じていることを明らかにした.また,PLIFを用いた濃度計測から,空気等温噴流においても混合が著しく促進されることを示し,最適なフラップ動作周波数が,プリファードモードに相当することを明らかにした.さらに,試験的にメタン-空気系の燃焼の制御を試み,浮き上がり火炎の基部が安定すること,比較的高流速比においても保炎が可能であることを示し,燃焼制御の可能性を示した.
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