研究課題/領域番号 |
10355029
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
小林 俊郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90023324)
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研究分担者 |
栗熊 勉 アイシン高丘株式会社, 技術開発研究所, 主担当研究員
森田 繁樹 豊橋技術科学大学, 工学部, 教務職員 (00314089)
戸田 裕之 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (70293751)
井上 直也 豊橋技術科学大学, 工学部, 教務職員 (80293760)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
23,900千円 (直接経費: 23,900千円)
2000年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 19,200千円 (直接経費: 19,200千円)
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キーワード | ADI / 加工熱処理 / 強靭化 / オーステナイト化温度 / 黒鉛粒径 / γプール / 破壊靭性 / オーステンパ反応 / 動的破壊靭性値 / 靭性 / 球状黒鉛鋳鉄 / 強じん化 / マルテンサイト変態 / 計装化シャルピー衝撃試験 / 破壊じん性 |
研究概要 |
H10年度は、ADIの靭性に及ぼす加工熱処理時の圧延加工量、オーステンパ処理温度および時間の影響について調査した。H11年度は、加工熱処理条件の最適化・高効率化を目的として、加工熱処理材の靭性に及ぼす黒鉛粒径およびオーステナイト化温度の影響に関する調査ならびに検討を行った。H12年度は、強度・靭性に及ぼす加工率およびオーステナイトの安定性に関する調査を行った。 加工熱処理を施したADIの靭性は、黒鉛粒径によらず、ほぼ一定であることが確認された。他方で、ミクロ組織中に形成されるγプールと靭性の関係を詳細に解析した結果から、ADIの靭性は、主としてγプールの量に依存することを明らかにした。ただし、加工時に黒鉛粒間に形成されるせん断帯は、後のベイニティック・フェライトの核生成サイトとして有効に作用するが、それと同時に割れを生じる場合がある。従って、加工熱処理法の実用化に際しては、黒鉛粒径の大きなものが望ましいと結論した。加工率40%、オーステンパ時間14.4Ksecで、最大の吸収エネルギー値が、加工率60%、オーステンパ時間7.2Ksecで、最大の破壊靭性値が得られた。また、0〜40%程度で引張強度は1000MPaを越えており、伸びも40%で最大となった。40%までは、加工率の増加に伴い、処理材の残留オーステナイト量は減少した。また、その安定性は増し、高加工率では変形・破壊中の加工誘起マルテンサイト変態は見られなくなった。 総合的に見て、40%程度の加工率で強度、靭性のバランスが優れるという結果が出た。強度はそれより低加工率側で、また靭性は高加工率側で優れることがわかった。これを参考に鋳造鍛造法などでnear-net shapeを達成しながら、各部位の特性を最適化することも可能である。この様なコンセプトの基に鋳鉄のミクロ組織設計・使用法案の検討などを行えば、鉄鋼材料に代替できる優位性も生じ得ると考えられる。
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