研究課題/領域番号 |
10357007
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
小児科学
|
研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
眞弓 光文 福井医科大学, 医学部, 教授 (70135581)
|
研究分担者 |
松尾 雄志 オリエンタル酵母工業(株), バイオ部, 取締役(研究職)
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
片村 憲司 京都大学, 医学研究科, 講師 (40185806)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
24,900千円 (直接経費: 24,900千円)
2000年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1999年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
1998年度: 11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
|
キーワード | 食物アレルギー / 卵アレルギー / 低アレルゲン化 / チオレドキシン / 免疫寛容 / 治療 / 経口免疫寛容 / レドックス制御 |
研究概要 |
本研究により以下の研究成果を得た。 1.卵に主要アレルゲンであるオボムコイド、オボアルブミンをリコンビナントヒトADF/オチレドキシン(TRX)で処理することにより、加熱調理や蛋白分解消化酵素に対する反応性が亢進し、IgE抗体との結合性が減少し、低アレルゲン化されることを明らかにした。この低アレルゲン化法により作成された低アレルゲン化卵を経口投与することにより、卵アレルギー患者にアレルギー症状を引き起こすことなく経口免疫寛容を誘導して卵アレルギーが早期に治療できる可能性を示唆した。 2.経皮的卵白アルブミン感作によりマウスに抗原特異的IgE抗体産生とアトピー性皮膚炎を惹起した。このマウスへの抗原の経口投与は抗体産生とリンパ節T細胞のIL-4、IFN-γの産生を抗原特異的に抑制し、皮膚炎に対し、表皮の肥厚、肥満細胞数や真皮内の好酸球数を抑制し、真皮の肥厚、皮下組織領域の好酸球数は抑制しなかった。これらの成果は低アレルゲン化食品を用いた経口免疫寛容誘導による食物アレルギーの関与したアトピー性皮膚炎の治療に関して重要な示唆を与えた。 3.TRXの作用と制御機構を解析し、(1)TRXはcaspase3の酵素活性をその還元活性により維持し、アポトーシスシグナル伝達に重要な役割を果たすこと、(2)Ref-1と協調して転写因子p53の活性化に関与すること、(3)Geranylgeranylacetone(GGA)がTRXの発現および分泌を促進し、GGAが食物アレルギー治療へ応用できる可能性を持つこと、(4)Thioredoxin-binding protein 2/ Vitamin D3-upregulated protein-1(TBP-2/VDUP-1)がTRXの内因性活性阻害蛋白であること、(5)TRXは抗酸化作用、虚血再潅流傷害防御作用、白血球の血管外漏出抑制作用を持つことを明らかにし、TRXがアレルギー疾患に対する新しい抗炎症剤である可能性を示唆した。 これらの研究成果により、ADF/チオレドキシンによる食品低アレルゲン化が可能であり、この低アレルゲン化食品を用いた経口減感作による食物アレルギーの早期治療の可能性を示唆すると共に、ADF/チオレドキシンの制御による生体のレドックス調節によるアレルギー疾患治療の可能性を示唆した。
|